主人公視点


ダンゾウ先生に手渡された重み。うごうごとして、じっとしていないそれは、赤子である。

「ナルト……」

俺は今猛烈に感動している。
だって、
だって!!

あのナルトを抱いているのだ。まだ「だってばよ」口調がないのが残念だが、頬には愛らしい髭みたいな線が三本。ミナトと揃いの金髪、クシナちゃんかミナトか、二人とも綺麗な青い瞳を持っていたからそのどちらかから受け継いだだろう大きな目。肌色はミナトに近く、顔立ちはクシナちゃんだ。男の子は母親に似るというが、将来的にはミナトにも似てくることを俺は知っている。


「生まれてきてくれてありがとう」

これで俺はそう簡単にしなないよ〜お前は世界の救世主になるんだよ〜。滅多に浮かべない満面の笑みを見せているのは、ナルトの未来での活躍=俺の長生きに繋がるからだ。可愛い弟が死んだことは悲しいが、どうにかしようにも俺にはどうにもできないし。何故か教えられたチヨバア様の禁術使えばミナト復活できるかもしれないけどさ、確認したらミナトったら半分の魂は死神さんのお腹に、もう半分の魂はナルトに入れてるからね。成功率低いよ。
危なくなったらミナトを生き返らせて俺は逃げよう、うん。


そして申し訳なさそうな顔をして事態を説明する三代目とか今の俺にはどうでもいい。だってこの人、何だかんだで俺のこと嫌ってそうだし。まあダンゾウ先生の七光りで生きているような人間だから仕方ないんだけどね。


ナルトのことだって、俺が聞かなければ言わなかっただろうし。なんか大分渋って、会わせようとしなかったから強硬手段に出たら、あらやだ、ナルトが囲まれていた。
皆さん随分と物騒な眼差しですね、と揶揄すれば視線は俺に向けられた。ふ、ふん!今の俺には背後にダンゾウ先生がいるぜ!

俺の後ろにいる先生の影響力に感謝しつつ、俺はナルトをそこから掻っ攫うように抱きしめた。

よし、決めた。

「お前は俺が守るよ」

お前が立派な下忍になるまで。


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