@夢主が好き過ぎるあまり色々やらかす確信犯なカカシ


「うっ、ぐす…っ。も、やだぁ…っ」
「うん」

「ひっく…つ、次は、しないって、いった…のにっ!」
「うん。ごめんね。でも我慢できなかったの」


グズグズと泣きわめく私を何が嬉しいのか頻りに「ごめんね」を繰り返しつつ抱きしめ頬擦りする男が里の誉だなんて信じられない。

でもどんなに力を入れても拘束された腕を退かすことはできないのでやっぱり一般人の私とは違うんだなぁと変なところで感心してしまう。そんなことを考えてしまうほど今の私は余程現実逃避が好きらしい。


お互い裸でベッドの上。窓から差し込む朝日の眩しさと私の泣き声がBGMなこの光景はそれこそ二人が出会った時から変わらなかった。



忍里に暮らしながらも一般人として生活している私は小さい頃から屋根の上を走る忍をみては「すごーい!」と目を輝かせる子どもだった。
よく昔馴染みに変わらないねと言われるくらい精神的にも成長していないらしい私だが、流石に五回目のこれは許せない。

一回目、そう、私とカカシさんの意識がまともにある上の対面も生まれたままの姿でカカシさんの腕に抱きしめられている、第一声が「どなたですか?」だったのだからもう最悪である。
ズキズキする頭は昨夜のお酒が原因だろう。目の前の滅多にお目に掛かれない美形がニッコリと弓なりに目を細め「おはよう」というので「おはよう、ございます」と返したが、すぐに青ざめる。これが所謂一夜の過ちというやつか、心の中の自分は妙に冷静だった。

取りあえずお互い大人なんだし、ここは色々水に流すということで忘れようと上体を起こしながら言いかけた私は硬直した。下半身の一部に感じる違和感が気のせいだと思いたい。

だが男は気のせいにしてくれなかった。
「明ちゃん、やっぱり初めてだったんだね。俺嬉しいよ」
奴はそうのたまった。


二度目の一緒に朝を迎えたのはその三日後。
頭は痛くない。昨日は友人と食事したがお酒は飲んでいない。目でどういうことだと訴えれば「三日も放置するなんてひどい」とワッと泣き出した。ひどいのはどっちだ。こっちが泣きたい。


三度目は過去を反省し、大人しく家に引きこもっていたが朝を迎えたのは私のベッドである。忍に、特にはたけカカシに中流階級の庶民が借りれるアパートは侵入するのに難易度は低かったらしい。ふにゃふにゃと猫の子のようにすり寄ってくる相手を火影様に訴えようと決意したのは言うまでもない。


だが腐っても上忍。そして火影に一番近い優秀な忍。寧ろカカシさんの子を産んでやってくれと結婚を強いられたので急いで逃げてきたら私の家に寄生しだしたカカシさんにその晩押し倒され、四度目の朝を迎えた。


これまで強引に事に及ばれ、心身ともに傷ついていた私は次勝手にやったら絶対許さないと伝えた。それに固く頷き「うん。守れたら結婚してね」と無理矢理約束させられたので何とも言えない顔をしたのだったが、



五回目の朝である。前回よりかなり時間が空いたが五回目。

「約束破ったから結婚しませんからね!」


極々普通の人と結婚したいと思ってはいるが、初対面が初対面故にカカシさんはない。絶対ない。ありえない。まぁ、五回も関係持ってしまったのは過ぎたことだと開き直ろう。金輪際関わらないで下さいと告げようと思ったら、カカシさんはフニャリと困った様に眉を寄せ(可愛いと思ったわけではない、決して)

「うん。でもね、明はもう俺の子孕んでるよ」
「は?」
「だからさ。明は妊娠して、あと五か月もしたら赤ちゃん産むの」


――もう堕胎できないし、そしたら俺と結婚しないと一人で子ども育てないといけないよ?


心なしか最近お腹周りが膨れてきた気がしていた。
一時期食欲が増したり減ったり不安定だし、そういえばもう長い事生理が来ていない。全部カカシさんのストーカー行為その他でストレスが溜まったせいかと思っていたけど…。

さああと血の気が引いた顔を彼に向ければ、ニッコリと微笑んで


「結婚、するよね?」


その問いに私は頷くしか答えを持ち合わせていない。


聞く耳を持たない
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