その人との出会いは私が元就様の真似をして「日輪よ!」と日光浴をしている時だった。
ポカポカ温かいなぁ、このままお昼寝しようかなぁと思っていると影が差した。

「誰…」

我の至極の時間を邪魔すのは!とその影を睨みつけようとして目を見開いた。


「あ、」
「……〜ッッ!!!」

――明!!

ガバッと抱きしめてくる少年。だがその顔は覚えがある。


「お、にい、ちゃん?」

私の兄、うちはイタチだ。


「ああ!そうだ……やっと、やっと会えた。無事でよかった!生きていてくれて良かった!もう一度、お前に会えてよかった!!」


切実に涙ながら告げる一言一言に籠められた想いに私もつられて涙ぐんできた。あ、やばい。


「帰ろう。家に、父さんと母さんがいる家に……兄さんと一緒に帰ろう」

うん。私もお父さんとお母さんに会いたいよ。会いたい……でもね、

「(フルフル)」

「なっ?!どうしてだ!」

だって、

今みたいなプチニートな生活が出来ないに決まってるもん!


はいそこ!コイツ残念だなぁとか云わない。だって私まだ7歳だけどこの世界では7歳でも仕事させられるからね?前世じゃランドセル背負いだした頃だからね?三歳から強制的に働かされていた私はもう燃え尽きたのさ……それにほら、某銀色侍さんはあの歳でマダオだからね?私がもう少しだらけきった生活送っても罰は当たらん、はず。

そして私の無言をどうとったのか知らないがお兄ちゃんは暫く俯いたかと思うと行き成り私を抱きしめた。ぐえっ!


「ならいつか必ず兄妹三人で甘味処に行こうな」


はーい!


***

イタチ視点


俺には弟がいる。そして妹もいた。
そう、妹もいたのだ。

「おかえりにいさん!」
「ああ、只今。サスケ」

出迎えてくれるはずだったもう一人の兄弟。俺の宝物が奪われたのはサスケが生まれるほんの少し前の事だった。

「明?明、明!!」


一族総出で探したが見つからなかった。家にいたはずの妹が外に出れば集落、集落内にいなければ里内にいるはず…だけどそこに行くには門を潜る必要がある。そう、子どもの場合は。

明は他里の忍に誘拐された、と上からお達しが来た時の絶望感。
そして三代目から聞かされた妹の現状に対する希望。


「俺がお前の隊長になる、はたけカカシだ」

――ま、よろしく。


片目を三日月に細めた銀髪の男、写輪眼のカカシと異名を持つ男、そして、


「あの!」「ん?」

「お願いがあります」


明の保護者だ。



「……カカシ隊長。もう結構ですよ」

「いいのか?」

良いも悪いも、あの子が望まないのだからしょうがないだろう。俺の答えなんて解っている癖に訊いてくるこの人が憎らしい。


「隊長こそ、よかったですね」

「……」

「貴方が明とどれだけ家族であろうとしても、結局血の繋がった本当の家族は俺たちです。普通の人間なら血の繋がりに拘らないかもしれませんがうちはは違います。俺も、そして明も……いつか貴方と別れを告げる日が来る。その時どんな思いを味わうか解りませんよ?それでも『いいよ』……」

「俺はね、もう明無しじゃ生きていられないの」


それでもあの子が本気で帰りたいっていうならその時はお前の所に返してあげる。


カカシ隊長は、カカシさんはそう悲しそうな顔で俺に言った。
その約束は結局果たされることはなかった。



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