特に前世で善い行いをしたわけでも悪行を働いたわけでもない。願ってかなうなら今すぐ懇願しよう。

今世の名前はうちは明です。父親はフガク、母親はミコト、兄貴分はシスイ、この間次に生まれる子にはサスケと名付けようといった父に絶望した。


つまり俺はうちはイタチポジションである。


 ナルトの世界の超人気キャラであり、主人公のライバルのお兄様であり、一族滅ぼしちゃったり弟に殺されたり戦争を止めるキーパーソンだったりするお人に成り代わりました。どうぞイタチファンの皆様、悪意はありません。故意でもないんです。


最初は疑問と葛藤、これからの人生、21歳で終わる今生を嘆いていたが鏡に映るあのうちはイタチ(漫画では数える程度しか出てこなかった幼少時の姿)と目が合ってふと思った。あ、まじ美少女…じゃなかった、


イタチってどこまでチートなんだろう、と。



止めておけばいいのに気になってしまった俺はこの体に秘められた才能を発揮させようと努力した。
そりゃあ未来は決まっているとか言われても一回死んでいる俺にしたら今世は老衰で縁側に座って、贅沢いうなら布団の中で死にたい。

そのため何があっても生き残ってやると思っているし、俺が原作イタチのように自分の命よりも里を、そして弟を優先するような聖人君主なはずがない。なんなら自分の死亡フラグは立てる前にサスケごと里抜けするさ。


まあ俺がサスケ命!のブラコンになるとは想像できないし今は生まれてもいない弟のことは関係ない。



第四次忍界大戦でカブトの暴走を止めたあとサスケに「愛している」発言かまして昇天していったが、あのマダラ以外で唯一自力で穢土転生の縛りを解いたチートなイタチ。
その後三代目の回想では7歳で既に火影の様な思考を持っていたとされる賢君。
13歳で遥か年上の上役たちを脅す度胸。


誰もが抱いただろう、もし歴代火影に加えうちはイタチが参戦していたらどうなっていたか、と。対マダラ戦、そしてカグヤ戦に対抗できたんじゃないか、あわよくばイタチならネジだって救えたんじゃないのだろうか、と。



調子に乗った人間ほど碌なものはない。

イタチの溢れんばかりの才能は努力すればするほど昇華された。
前世で努力してもその分返ってこないちっぽけな存在だった俺には涙が出るくらい楽しかった。そりゃあ努力が実ることほど嬉しいものはない。


 取りつかれたように修行に明け暮れる日々・・・。三歳の時、母さんが空区の猫バアの所に連れて行って手裏剣を買ってくれるまでチャクラコントロールと座禅を組んで瞑想に耽っていた。買ってもらってからは的当ても始め、4歳の頃にはクナイに性質変化させたチャクラを纏わせてどんな角度からでも的に正確に当てられるようにまでなった。あの原作にあったクナイでクナイの軌道を変えて四方八方に変幻自在に命中させる技もできたからダッシュで水溜りを覗いて確認したら写輪眼を開眼していたのだから驚きの余り池におちて偶々通りかかった忍びの水遁術で助けられた。(そしてその技もしっかりオートでコピーしていた)



この時点で原作のイタチと違うことを理解してやめておけばいいのに、調子にのって更に修行に励んでしまったことを後で後悔する。





ナルトの世界に生まれて13年、本来ならば一族のクーデターを阻止すべく暗部の命でうちは一族を殲滅、後に里抜けし、木の葉の敵となりうる『暁』に潜入してスパイをする。
俺が知っている「イタチ」はそうなるはずだった。





「よし!満場一致で“うちは明”を五代目火影と内定する。が、先に話に出たように明はまだ13だ、そして里の内からではなく、外でもまだまだ里の役にたってもらいたい。よって就任は明が20歳になってからとするが実質彼は火影だ!よいな皆の衆」


火の国の大名の問いにそこに集まった上役たちが皆満足そうに頷く。横ではなく縦に。


可笑しいとは思っていた。
7歳でアカデミーを卒業した後、暗部に配属された。
8歳で中忍試験に挑み、最後の本戦で優勝したと同時に暗部では分隊長を任された。勿論ここで中忍にも合格した。

10歳で上忍に昇格。暗部での発言権が増した。
この時点でアカデミー始まって以来の天才と謂われたカカシ先生(この先生呼びは前世の癖だ、表では「カカシさん」と呼ばせてもらっている)の出世記録を塗り替えたらしい。


 そして何故か一度大名の護衛について以来気に入られたらしく、Sランクの護衛任務のときもあればDランクの探し物まで俺指名で言い渡された任務を文句言わずに熟していたら「お主いい加減火影になれ!」と言われた。(この日もDランク任務だった)



前から何度か言われていたけど冗談だろ、と思っていた。だって俺の知っているイタチはそろそろ里抜けしていたし・・・でも中々ダンゾウからそれっぽい話はこないな〜と首を傾げていたよ?一族も集会を開けばただの近状報告をつまみにした飲み会だし、そこでも俺に「最近はどうだ?」「ちゃんと休んでいるか?」と心配そうに言ってくるだけだった。




その問いも単に俺を疑っているからだと思った。
だが疑われる以前に何もしていない。

因みにシスイも生きている。そして俺は万華鏡写輪眼まで開眼している。


可笑しいって?いやいや、調子にのって死ぬギリギリのラインまで修行を熟していたら足が滑ってバランスを崩し、終末の谷のマダラの像から落下した時、前世を思い出して「死にたくない!」と思ったら開眼していた。だって落下を防いだのはスサノオだったし。

逆に驚いて自分で出したスサノオを天照で燃やすという悪循環。
色々テンパってて月読の世界に三日くらい閉じこもった。



まあその話は置いといて、

俺は13歳にして次期火影にされてやっと色々とやりすぎたことを自覚しました。



***

後書き
三代目がイタチ主を大絶賛していたり初代の意志を受け継いでいる忍びは兄さんだ、というサスケを見てならイタチが火影でいいじゃないか!という管理人の妄想の産物。
五代目火影は綱手様、というのは私も賛成だけど周りから「うちはの天才」じゃなくて「次期火影さま」として見てもらいたいから6代目ではない。


そしてイタチ主は前世のトラウマで万華鏡開眼です。
うちは一族は普通にクーデターを計画していましたが、嫡男が一族の者の念願だった暗部に入ったり、上忍になったりでもしかして・・・とうちはの未来を期待→火影に内定→一族で宴開始みたいな。クーデター?ああ、そんなこと考えた時期もあったような・・・くらいの認識。

夢主の火影就任を反対はしないがまだ幼いと延期を進めたのはダンゾウじゃなくてシカクさん達上忍師。息子もちだからこそ、急がないで今は信頼できる仲間を見つけてほしいという願いからです。ダンゾウは寧ろ今すぐ就任しなさい派。夢主は特にお気に入りで彼にならばヒルゼンも納得するし、自分がその地位に就けなくてもいいと太鼓判を押しています。


やればやるほど強くなる、昔やったゲームのキャラの技とか超HSK過ぎるイタチの身体は不可能を可能にしてしまうから浮かれた夢主は既にとんでもない強さを持つ。





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