五歳になった。誘拐される前にお母さんのお腹にいた顔も名前もしらない弟か妹よ、お姉ちゃんはまだ何とか生きてます。 包帯おじじ(もうお爺ちゃんとは呼んでやらん!)の話しも右から左に流せるようになった。更に言えばそのおじじに幻術かけて目の前私が大人しく聞いているように見せかけその隣でおじじの戸棚からくすねてきた煎餅をボリボリ貪るくらいには成長した。 だがそんな日々も昨日までだ。 「もう大丈夫じゃよ。明」 あ、名前久しぶりに呼ばれた。 見知らぬおじじが一人。取りあえず新おじじと仮名をつけておく。新おじじがしゃがんで私と視線を合わせてくれる、あ、これ包帯おじじよりいい人だわ。新おじじはやめだ。 皺くちゃの手を甘受して撫でられる感触にトローンってしていると目の前のご老人は名乗られた。「ワシは三代目火影、猿飛ヒルゼンじゃ」と。 それを聞いたとき私は時めいた。何故なら「猿飛」である。なんて素敵な苗字なんだろう。いないと解っていてもBASARAの猿飛佐助を期待してしまう。 最近じゃ包帯おじじが触れようとすれば手を払いのけてきたがこの御爺様(さらに格上げ)の手はこれからも受け入れよう。 「本当はお主を家族のもとに返してやりたいが今は返ってお主を危険な目に合わせてしまうのじゃ。いつか必ず会わせてやるから今しばらく我慢しておくれ」 ああ、うん。そんな泣きそうな顔されちゃあ駄々こねられないよね。包帯おじじのいうことは聞かないけど御爺様のいうことは聞いてやろう。コクンと頷いて返事をすれば御爺様は安堵したように息を吐いた。 「そうか…良い子じゃ。ワシのことはじーじとでも呼んでおくれ。それとこれからのことで紹介したい男がおる」 え、だれ? 「カカシ、入ってもよいぞ」 「ハイ。失礼します」 御爺様改めじーじが紹介してきた男性。銀色に顔の四分の三が隠れた不審者。服装が包帯じじいのとこにいたおっさんたちと一緒だったから思わず反射的にじーじの背中に隠れた。 「あ〜俺、嫌われちゃいました?」 「いや、恐らくその暗部の格好が原因だろう。今までダンゾウのところにいたからな」 「ああ。では着替えてきますか」「いや、待て」「?」 「カカシよ、その左目を明に見せてやってくれ」 「あ、ああ、うん。そうでしたね」 何やら納得した様子でトテトテとその男性は私の前でしゃがんだ。なんだ、左目になんかあるのか?とより一層警戒を露にしていると男性は苦笑したまま左目を覆っていた布を上げて……?!! 「ほら、この目、知ってるでしょ?」 「私と、同じ…」「そ!一緒だよ」 鏡越しじゃないその目を見て、今まで我慢して来た物が目から零れ落ちた。 2 |