ジョナサン・ジョースターはたった一人の少年に出会ってから悲しみに明け暮れていた。
その少年、ディオ・ブランド―は優秀でよく彼と比べられたり、ボクシングで指を目に突っ込まれたり、賭け事を持ちかけられてはお小遣いを巻き上げられたり、ジョナサンの友を奪い、彼は知らなかったがジョナサンのガールフレンドを襲っていた。その彼女も先日急な引っ越しで別れてしまったのがジョナサンに衝撃を与えたが。

しかしこれだけ散々であったがまだ彼は孤独ではなかった。
勿論人間の友は未だディオのせいで近寄っても相手にしてもらえないし、犬のダニーは死んでしまっている。彼の友達であり、その友達からしたら保護者みたいなものだが、ジョナサンの傍にはいつも明がいた。


朝、学校に行く。一人ポツンと佇むジョナサンだがそれはあくまで傍から見た場合。彼の背負う鞄には真っ白でフワフワなキーホルダーがついていた。時折それに視線を向けてはにやける彼に周囲はさらに遠のいていたのだがジョナサンは気にしない。どうせ仲良くなってもまたディオが邪魔するに決まっているさと思っている。


ジョジョの鞄にぶら下がるキーホルダーこと紐をつけたトトロである明は誰にも見えない。ディオには見える。行の馬車でも帰りの馬車も同乗しているのだからジョナサンを視界に入れれば必ずと言っていいほどトトロも視界に入る。中ではなく白トトロだから猶更目立つ。

だがその存在を認めることはできない。
一度友人と書いて下僕と読む男にトトロを指さして「見えるか」と尋ねたら頭のおかしい人間を見る様な顔をされて激怒した覚えがあるからだ。


トトロこと明はそのディオの心情をばっちり把握している。伊達に長く生きていない。毎朝ジョナサンを起こすと同時に鞄にくっつくのだ。別れ際エリナに貰ったチョーカーに引っ掛けてぷらーん、ぷらーんと右へ左へ揺れる。

学校についても見えないことをいいことに好き放題している。ジョジョがつまらなそうな顔をしたら授業中にも関わらず、机の上でどこから出したのか、派手な衣装に着替えてサンバを踊ったほどだ。勿論ジョジョもそれを近くで目撃したディオも笑いを堪えるのに必死だった。


ディオはダニーの仇である。だが明は彼を恨んだが、憎みはしなかった。
それは自分の姿を見ることができるディオの心の奥底に眠る一欠けらの純粋さにチャンスを与えたかったからかもしれない。


少しずつだがディオの計画変更による約7年間、二人と一匹は穏やかに過ごしていった。


マスコット
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -