ここはどこ・・・?


気が付けば私は真っ白なモフモフ・・・視界に映った身体の異変を確かめようと触り続けている。
水溜りでその姿を確認すれば小さい頃大好きだった森の妖精?“トトロ”だ。それも白トトロ、または小トトロ。辺りを見渡せば中も大もいなかった。

気が付けばの前に続くのは私の事故死だがまさか死んだと思ったら転生していた、それも人外に転生していたなんて誰が信じられる?
どうせ生まれ変わるなら何でも出せる未来の猫型ロボットが好かった。だってトトロの主食ってドングリとか木の実でしょ?やだ私生クリームたっぷりのイチゴのケーキとかサクサクマカロンとか食べたい。

だがお腹が空いたし背に腹は代えられない。
傍に置いてあったドングリを一つとって近くの川で洗ってから恐る恐る口に入れた・・・・美味い。


美味かった、デパ地下の人気デザート並に美味かった。そうか味覚も違うのか。
私の手は今ドングリ集めに全てを奉げている。だから背後から近寄る気配に全く気付かなかった。





19世紀、英国
名門貴族ジョースター家には一人息子がいた。彼の名前はジョナサン・ジョースター。「ジョジョ」の愛称で親しまれている。ジョナサンは広い屋敷で父親と沢山の使用人に囲まれていたが孤独だった。近隣に住む子供たちはジョナサンが貴族の息子だからと一緒に遊びたがらなかったのだ。数年後この屋敷にやってくる犬のダニーを親友というほど、当時のジョナサンには友人と呼べる存在が一人もいなかった。

しかし、ある時を境にジョナサンには小さな友人が出来るのである。



「ほんとだよ!ほんとにトトロはいるんだよ!!」

「坊ちゃま・・・ええ屹度いますよ」

「だから違うよ!家にトトロは住んでるんだよ!」


必死で訴えるジョナサンの科白に困ったように諭そうとする使用人がジョースター卿の目下にいた。「ジョジョ」と呼び寄せれば駆け寄ってくる愛息子の顔は可哀想に、ボロボロ涙をこぼし興奮冷めないのかフー!フー!と肩で息を繰り返す。

遅れてやってきた使用人に仕事に戻ってくれと奥に引っ込ませるとジョースター卿はジョジョを抱き上げ膝の上に乗せた。


「ほんとに・・・と、トトロ・・は・・・いるもん!!ぼく、みたんだよ!」


大好きな父親にまで友達の存在を否定されたくない一心で訴える。ジョースター卿はそれに頷き「ああ」と返した。ジョジョはバッと振り向き父に嬉しそうに笑いかける。ジョースター卿は泣き止んできた息子に内緒話をするように云った。

「実はね?私も今のジョジョくらいの時にトトロをみたんだ」

「えっ??!」

吃驚するジョジョにフフと笑い、過去の思い出を語る。


「私も偶然見つけてね・・・以来一番の友人とも呼べるほど一緒に遊んだ。だけどね、トトロが見えたのは私だけで家の者には見えなかったんだよ。何時も見えない友達と遊ぶ私に父・・・ジョジョの御爺さんが怒ってね?この屋敷を離れることになってメアリーと結婚する時漸く戻ってこれたんだ。でも探してもあの子はどこにもいなかった・・・屹度おとぎ話のように私が大人になったからか、それともお別れも謂わずに消えた私を怒っての事か・・・どちらにしろ私は今とても嬉しいよ、ジョジョ。屹度お前が見たトトロは私が知っているトトロと同じだろう・・・私には見えなくとも感じるんだ。どうか誰かに否定されてもお前はあの子と仲良くしておくれ」


懐古と哀愁漂った父の瞳にジョジョは大きく頷いた。


ジョースター邸にて
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