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美しき惨劇の幕開け

納屋様リクエスト


人魚石IF マダラ娘


※ヤンデレマダラ注意報


***


 千手に降伏したうちは一族の処遇は悪い。

棟梁が和解してもそれまで両一族の間に広がった溝は深く、また時に他一族と手を取り合う千手と違い一匹狼を貫いたうちは一族は新しい里の中でも疎外されがちだった。

それを何とかしようと画策した結果、取り決められたのは

「名前、綺麗よ」

「ありがとうミトちゃん」


棟梁たちのそれぞれ血縁者、つまりうちは名前と千手扉間の婚姻。

棟梁たちが20代後半、扉間も四捨五入すれば同じく20代後半に達する一方名前はまだ11歳。しかしこの時代このくらいの年齢差は不思議がることはないし、もっと若くして結婚した娘も存在する。

名前本人も承諾した婚姻だし、扉間が望んだものでもある。
口ではマダラの娘だから危険だなんだと言っているが本音を見抜ている柱間は素直じゃない弟の初恋を温かく見守った。

歳不相応だがしっかりしている名前と会話したのは片手で数えられる程度だが彼女の人となりは理解している。屹度弟を支えてくれるだろうと安堵した。
彼の妻とも歳の差はあるが姉妹のように仲がいいのは傍目にも和ましい。千手にもうちは一族出身だと最初は批難の目を向けられていたが今ではそれも減り、婚儀を終えた頃にはなくなっているだろう。

そう、二人はまだ婚約しただけど式は挙げていない。
だがそれも今日だ。

ミトがうっとりと見つめる先には十歳を超えて少ししか生きていないにも関わらず一人の女の様な色気すら感じられるアンバランスな少女が白無垢に包まれている。


幼いとはいえ女だなぁと柱間が関心する一方、入口で名前を見てから固まったままの弟を揶揄すれば我に返った後、男にしては白い肌を熟れた林檎のように染めるのだから益々調子に乗って揶揄してしまう。

ミトに促され、少しの間二人っきりにした。
ドアを閉める前に「襲うなよ」といえば「兄者!!」と怒声が聞こえたがガハハハ!と大声で笑う。嗚呼、今日は素晴らしい日だ!


「あの、アナタ。マダラのことなんだけど・・・」

愉快そうな柱間の隣でミトは少し心配したように云った。
笑うのをやめ、真剣な顔つきになる柱間。


そう、可笑しなことにあの親馬鹿が何も言ってこないのだ。
瞳術を持つ一族において我が子を目に入れても痛くないなどという表現は使わないが、マダラの名前に関して向けられる愛情の深さを考慮するとまさにそれだ。

弟を失ったあと、益々それが顕著になった。
そんな男が幼い娘の婚姻に関して何も口出ししてこない。

不気味だ。


一族の棟梁としてなら同じ立場故に頷くことは解っていた。だがマダラは名前に関しては一族よりも比重をおいている。里と一族なら一族を。一族と娘なら娘を取るだろうと柱間は思っていた。



大安吉日にも関わらず薄暗い曇り空が余計に不安を煽っていた。



主人公SIDE



扉間が退出したあと名前は溜息をつく。
何でこうなった・・・僅か11歳で二倍以上年上の男と結婚するとは人生何があるかわからないなぁと思っていた。

彼女はここ最近ずっと嫌な予感がしていた。
父だ。

父が何も言ってこない。
それが逆に恐ろしい。


何故彼女が父親を恐れるのか。それは彼女には前世の記憶というものが存在し、その中では彼女の父親がラスボスとして忍界を震え上がらす男だったからだ。
あのマダラさまの娘?!!と吃驚した赤子時代。
べたべたに甘やかしてくるマダラに慣れてきた自分が怖いと遠い目をした子供時代。
そしてストーカー?と思えるほど里にいる間ある男曰く「監視」された数年。

そのストーカーで自称監視者があの後に二代目火影となる扉間さん。彼と結婚することになった事情は省くとして父が何も言わない。嗚呼、不気味だ。

そう、ただずっと私を見つめてくるのだ。
婚約してからストーカーはやめた扉間さんの代わりに無言でこちらを見つめてくる父。


な、何か言ってくれ!そう思っても言えない私を世間ではチキンと分類される。



そんな身内に怯える日々も今日までだろうなぁ・・・式当日まで行方を晦ましている父にほんの少し寂しさを感じながら柱間、ミト、扉間と言葉を交わして時間を待った。



ちくたくと歌いたくなるような古い時計の音に耳を澄ませているとガタン!と格子が開いた。あれ?視線を向けようとしたら何故か真っ暗。


「迎えに来たぞ名前」


耳元で囁くような美声が鼓膜を震わした。


結婚式の前に花嫁を掻っ攫う父親なんて聞いたことがないのだよ。





マダラSIDE


薬で気絶させた娘を抱き上げる。
その時顔に掛かった垂れてきた髪を耳元に掛け、結い上げられたことで露わになった額や項に口を寄せる。

俺の腕にすっぽり収まるほど小さい・・・
こんな形で娘の晴れ着姿を見たくないと思う一方、実の娘ながら染めてしまいたい衝動に駆られるのは屹度この純白が悪い。なぁ、そうだろう?



入口の外が少し騒がしくなってきたと同時に大勢の人間が一か所に集まる気配がする。
恐らくそろそろ時間なのだろう。

ゆっくり鑑賞するのはもう少し後か・・・

横抱きにしたまま入ってきた格子から名前を連れて出ていく。

ここ暫く密かに用意していた国外れの住処まで起きないことを願う。
まぁそのせいで名前を避ける羽目になったのは中々ストレスが溜まるものだったがそれも今日までだ。


花嫁の控室を一瞥する。室内に残された赤い打掛。着られることなく置いて行かれるそれが哀れだが致し方ないだろう。


もう一度額に一つ口づけると名前を抱え直して里を後にした。




花嫁を心配した扉間たちが見たのは開いた格子と残された赤い打掛だけだった。



***


近親相姦じゃありませんよ。ただ行き過ぎた愛情があるだけ。
この後住処で目を覚ました主人公は原作でオビトが閉じ込められたみたいな目に合う。
主人公を安全な所に隠してから里を襲うマダラお父さんは扉間に「貴様にお義父さんと呼ばれる筋合いはない」とか威圧的に言い放ち、扉間さんも「誰がお前なんか!!」って怒る。マダラは嫌いだけど主人公は好きだという葛藤は相変わらず。


花嫁を元恋人が掻っ攫うことはあっても実父はないんじゃないかな〜そもそもそこまでするなら認めないだろう。ただマダラの場合仕方がなかったので里抜けルートでした。



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