呟きというか日記

羽化石が真面目な事からふざけた事まで書く場所です。

「かいけつゾロリ ZZのひみつ」感想

2017/12/09 19:49

 ここからはネタバレ有の感想です。文体が急に常体になるけど許して。

〇30周年記念
 ゾロリ一味がタイムスリップをする際、今まで出会った仲間たちがゾロリ庵の脇をすり抜け、走馬燈のように思い出が巡るシーンがある。(アニオリキャラまでいた事も含めて)私はここで既に感動してしまった。序盤なのに。「過去を遡る」演出と「ゾロリの歴史を振り返る」演出を同時にやってのけた発想と手腕に感動&感謝した。もう一回この映画見たい(一回目)。

〇音楽!オシャレ!大胆な構図!
 構図と音楽については既に前半で語ってしまったので一つだけ。ゾロリもろとも落ちないよう、自ら手を離したロリーを尻尾で助けるシーンで「ゼッコーチョー」が流れた時は鳥肌が立った。良い所でアニメのOP流す演出is最高。
 ワープシーンがお洒落と書いたが、ネオンサインのような模様は勿論、伏見稲荷大社のように沢山の鳥居を潜っていく演出も神秘と「キツネらしさ」があってお気に入り。冒頭の自己紹介シーンの背景とか、OPのアルファベットとかとにかくおしゃれ。特に前者はゾロリのスタイリッシュさも現れてて好き。
 演出で「はっ」としたのがゾロリが「この人と離れたくない」と感じるシーン。ロリーがゾロリーヌその人であると知る前から彼女に惹かれるゾロリが何もない宇宙にふっと浮かぶ姿が、母を求める彼の心情で表しているようでぞっとしたのだ。まあ、その後すぐにギャグシーンに移るところが超ゾロリせんせっぽいのも含めて好きなんだけどね!!

〇イシシとノシシ
 (ゾロリせんせについては後から沢山書くから許してほしいだ)
 イシシとノシシが可愛い。特に「デザートを作る人の事だか?」と言ってゾロリせんせに小突かれるシーンが柔らかそうで好き(小さい頃のゾロリせんせが同じ事言ってたのも好き)。後、冷静さを欠いているゾロリせんせに耳打ちするためにわざわざ幽体離脱したところとか好き。というか、どうしてもママの事を意識してしまうゾロリせんせのストッパーやってる2人の必死さが好き。
 今回、ゾロリせんせとお揃いのマスクを作ってもらえた所も凄く好き。
 
〇料理がおいしそう
 友達にウインナーを借りられてるのも含めて大学生の手料理っぽさが出ていて、かいけつゾロリにおいてある意味貴重なのではないかと感じるシーンでもありました。前述の「この人から離れられない」と感じるシーンと、このオムライスは母の味だと不思議がるシーンはゾロリがママの事が大好きだと分かる小さな名シーンでした(というかこの映画、基本的に名シーンの連続で作られてる)

〇原ゆたか先生
 京子先生のお声聞いたの、私初めてですよ……!
 この作品内での原ゆたか先生はドーナツ屋の店長だが、彼は昔からドーナツ屋を営んでおり怪獣が攻めて来た時にもドーナツを守ろうとしていた。最終的に街をドーナツ一色にした彼をゾロリ一行が「すげー」と称するシーンがあった。これは、過去と現在のつながりを表す演出であると同時に、30年間かいけつゾロリという物語を守り続けた原先生へ敬意を表すための演出ではないか……とふと思った次第であります。

 ここから本題に入る。私がこの作品に対して感じた事の80%はここから先に書いている。

〇ゾロリとロリー
 前半でも書いたが、彼女は本作において「ゾロリのママ」ではない。だから彼女はゾロリに惹かれる。しかし、万が一カップル成立してしまえば歴史が変わる(それを阻止しようとするイシシとノシシの幽体離脱ほんと好き)。だから、ゾロリは大好きなママに好かれてはいけない。ゾロリが「見ててよママぼくのこと」と歌いながら旅をしているのを知っている方々にはこれがどんなに辛い事かお分かりいただけるだろう。分からなかったら今分かって。だからゾロリはロリーを突き放し、ロリーは悲しい顔をする。
 それでもロリーはゾロリに優しかったし、ゾロリはロン先輩と競い、協力しながらロリーを助けようとする。自分が消えないためではなく、「大切にしたかった人」を守るために。これこそが「ゾロリを見守って来た大人達に薦めたい理由」である。ゾロリーヌが、ママがゾロリに与えた優しさが、30年の時を経て遂にママ本人に帰って来たのだ。彼がいくら赤子を救おうと妖怪学校の手助けをしようとゲームの中の王女の世話をしようと魔法使いの少女を導こうとおならで地球を救おうと決してできなかった「母を助ける」事が遂にこの映画で叶ったのだ。この喜びを共有したいのだ。

〇ゾロリとゾロンド・ロン
(だ・だ・だ・だいぼうけんを見ていたらもっと分かる事があったらしい。見てない。悔しい。)
 ロン先輩も「まだ」パパではない。だからママだーいすきなゾロリとはライバルである。だがしかし、母(または妻)を巡って争う姿が既に父と息子の構図なのであった。こりゃあイシシとノシシも「親子だなあ」と呟きますわあ……。
 アーサーやガオンのような歴代ライバルよりもロン先輩は物分かりが良い(アーサーに関しては大体ゾロリが悪いんだけどね!!)。初めはゾロリを遠ざけようとするが、出来る奴だと分かるとすぐに協力してくれた(ガオンはアニメシリーズのキャラだから展開上、協力するのに数話必要だったのは内緒だ)。ゾロリもパパもママが好きだからこそ得られた勝利だ。ところで、まさか演出でよくある綺麗なゲロを本当に綺麗なゲロにするって中々できないっすよ……
 何故ゾロリーヌを助けようとするのか。その問いにゾロリは「大切にしたかった人だからだ」と答える。この過去形にはきっとゾロリの複雑な気持ちがたくさんたくさんこめられている。そしてゾロリは「残された家族の気持ちも考えろ!」と父への想いを父に直接ぶつける。もしかすると、ロリーを過去形で表現したその裏には「どこにも行かないで、母を大切にしてほしかった」という思いが込められているのかもしれない……が、ゾロリせんせがそんな恨みがましい事を飯以外で考えそうにないからやっぱり違うかもしれない!!
 とにかく、ゾロリはパパにも思いの丈をぶつける事に成功するのである。もしかしたら「だ・だ・だ・だいぼうけん」で既にぶつけたのかもしれないが、とにかくゾロリせんせに感情移入していた私は胸のつかえがとれたような気分になった。

〇パパとママ
 それでも2人はゾロリのパパとママだった。2人からするとゾロリは「どこの馬の骨とも知れない上に、年が近い女子大生をママ呼ばわりするやべー奴」である。しかもロン先輩からすると高校時代から大切に思っている後輩に近付き自分をライバル視してくる(しかも何故か自分の衣装を着てる)ガチでやべー奴である。
 それでも2人はゾロリを守りこそすれ否定はしなかった。本編でママは夢を応援してくれるし、パパは素性を明かさずこっそり助けてくれる。今作でもそれは変わらなかった。ロリーは初めて会ったゾロリの「いたずらの王者」という明らかにやべー奴な肩書にむしろ好意を示してくれたし、ロン先輩はイノシシの屁で飛ぶ珍妙なグライダーを褒めてくれた。2人はゾロリの事を知らなくても息子の夢を応援する両親として最初から最後まで描かれていた。私はそれが嬉しかった。
 
〇大切にしたかった人
 ゾロリーヌはゾロリが親孝行ができるような年齢になる前に亡くなっている。夢を放棄して死んでまで会いに行くことはしてはいけない事も知っている。だから「大切にしたかった」人と過去形で言う。それでもゾロリは「お城に住まわせる」と約束をする。よりによって母本人とそれを約束した時、私は泣いた。涙を拭おうとして袖で顔を拭いた(汚い)ら化粧がついてしまった(汚い)のは内緒だ。ゾロリーヌの未来予想がゾロリママがしてくれた事と一致しているのを見てボロボロ泣いた。でも、ゾロリは母を助ける事ができた。これがゾロリの救いになってくれてる……といいなあ……。
 ゾロリからもロリーに対して「大切な人を捕まえて、離すな」と決して果たせない約束をする。果たしてしまったら未来が変わってしまうし、ママはパパの夢も肯定するだろう。それでも口に出さずにはいられなかった切なる願いは自分のためじゃなくてパパとママの幸せを願って……いるのかもしれないしそうじゃないかもしれない。
(余談だが、今作のように母に未来を伝えないパターンとは真逆の事をやったイナズマイレブンGO クロノストーンという作品があるぞ。母モノに弱い人はこっちも見てみると面白いかもしれない)

〇ZZの秘密
 結局のところ、『ZZ』の意味は最終的にゾロリに、そして私達にゆだねられた。ゾロリーヌとゾロンドなのか、ゾロンドとゾロリなのか。ゾロリせんせのように自分と母の思い出として見てもいいかもしれない。想像の余地を残して話題のタネにするのが上手い児童向け作品が大好きなんです。
 ただ一つ分かっているのは、下半分を消せば「ママ」になる事。でんぢゃらすじーさんで育った私は、こういう言葉遊びならぬ文字遊びに弱いのだ。

〇そ・そ・そ・総括
 今回の映画は誰が見ても感動できる作りになっている。だけど、ゾロリを知っている人間からすると感動できるポイントがすこーし増える。そのすこーしに私は心を打たれたのだ。ゾロリに楽しませてもらったみんな、ゾロリがすこーし傷つきながらもすこーし救われるこの映画を見て。みんなのダークヒーローであるゾロリが、今日もママの優しさを胸にイシシ、ノシシと旅する姿を見届けて。これが私の一番の願いです。


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