やらなければいけなかった。
生きていくには、それしかなかった。
*
いつも暗い部屋で一人。
呼び出されれば赴き、仕事をこなしては再び暗い部屋へと戻る。
これが日常だった。
ぎらついた瞳が不気味に光っていた。殺意を込めて。
彼女の名前は軌銃。
誰にも知られていない、この闇市を動かしているメンバーの一人。
麻薬を流したり密売をしていたり、様々な物を動かしている。
軌銃にこの商売を望んでやっているかと尋ねれば、おそらく相手は半殺しにされるぐらいには彼女の怒りを買うことになるだろう。
自分が生き延びるためには、この方法しかなかった。
他人には頼らずに、自力で稼ぐには、これしかなかった。
彼女のプライドが邪魔をした。
この闇市は彼女一人で生きていくにはあまりにも辛すぎた。
それでも、ここまでやってこれたのは、二人の人物が支えてくれたからである。
一人は、情報屋と名乗っている、クラヴィンである。
そしてもう一人は、彼女の幼馴染である、空螺の存在だった。
彼にはここにいることを伝えていない。
伝えれば、何が何でも連れ戻しにくるだろうから。
だから、今日も彼に謝り続ける。
「すまない、空螺」
彼女の声は、虚しく部屋に響くだけ。
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