孤独な戦い

※人狼ゲーム。捏造しかない
※占い師と狂人の戦い
※BL/グロ/注意!
……OK?













本当にOK?

ではどうぞ
















「違う!私が本物なんです!アイツは……!」

「必死すぎて偽者に見えるよ?」


ニヤリ、と笑みを浮かべるオルト。それに対しローレルは目を見開き首を横に振り、半ば叫ぶように再び口を開く。


「ならどうして私を占わなかったの!?私は貴方を占った結果、白って言ってるのよ!?狂人しかありえないわ!」

「確定黒なのにどうして占わなければいけないんですか?それに、貴方が狼であろうと何処にでも白は出せる」


そう、今朝の結果はローレルがオルトを占い、市民ということを伝えた。オルトはブレインを占い、白という判定を皆に伝えた。
二人の意見に、エラルドが首を傾げながら口を挟む。


「……ローレルさんは、どうしてオルトを占った?貴方視点でも、オルトは狂人か狼の二択になるはずだ。それならば、どうして狼を探し出さなかった?」

「狂人ならこっち側にカウントされる、なら残しておくのも手でしょ?たとえ狼だったとしても吊ればいい話……だから!」


その回答に、目を細めながらブレインが静かに言う。


「だからといって、対抗占い師を占う理由にはならねぇ。本物なら、他のところを占い、確実に狼を探し出す……俺はそう思うがな」


椅子に深く腰かけながら、今まで黙っていた他の市民も意見を交わし始める。

どちらが真で、偽か。

彼女は俯き、どうすれば信用を得られるか考えを巡らせる。そうしなければ、偽と決め打ちされ吊るされてしまう。
そうすれば、市民にとって大事な情報源を失うことになってしまう。
彼女から見て、オルトは狂人なのだ。狼ではない、だから後で吊っても問題はない。たとえ狼だったとしても、吊ってもらえれば問題は__なかった。

彼は少し顎を引いて、彼女と市民達の様子を観察していた。おそらく、今は真寄りで見てもらえているはず。それもそうだ、本物の占い師なのだから。
狂人でも、狼でもどちらでもいい。市民達を混乱させる人はさっさと吊ってしまえばいい。
霊能者がいないのが気になるが、初日でもない限りは潜伏しているのだろう。自分が吊られ、白判定を貰えばこちらが真という揺るがない結果を突きつけることが出来る。
そうすると、狼が探し出せなくなり少し市民が苦しい状況になってしまうが、大丈夫だろう。


「……ところで」


オルトは少し大きめの声で、場の注目を自分へと向ける。


「霊能者はいるんですか?もしかして初日でしたか?」

「どうして霊能を炙り出そうとしてるの……?噛むつもり?」

「何だったら、俺が吊られて霊能結果を見てもらおうかと思いまして」


ローレルの表情が強張る。それを見逃さなかったオルトは口元を歪ませる。


「俺が真っていう証拠にもなるでしょう?」

「……そうよ、今日、貴方を吊れば……!」


恐らく、混乱しているのだろう彼女は。
白だったのだ、彼は。だから霊能結果を見ても白と判定されるのだ。そうすれば……自分が狼ということになってしまう。それを考慮していなかったための発言。
ハッとして、口を両手で塞ぐ。気付いたのだろう、今の発言は……とんでもない失言だったということを。


「……おかしいな、さっきと意見が違うんじゃないかい?」


クラヴィンは目を細めながらローレルに食いかかる。


「さっきは狂人でも市民側にカウントされる、だから残しておこう……そう仰いましたね?それが今になって吊ってしまえ……」

「ッ!!違う!これはっ……」

「自分が狼だから、何が何でも対抗占い師……つまり真の占い師を吊りたい、そう言っているように聞こえましたよ?」


鋭い眼差しに、ローレルは思わず言葉を詰まらせる。


「……そろそろ、時間ですね……」


もうすぐ、日が沈む。

今日も一人__処刑しなければならない。


「結局霊能はでないまま……か」

「……誰吊る?」


どうすれば、自分が吊られない?
狼は賢い、だから自分は噛まない。噛んでしまえば必然的に残った方の占い師が偽、となるからだ。
でも、この流れでいってしまえば、いずれは自分は吊られてしまう。


「……今更、出てもいいか?」

「……霊能、ですね」


エラルドが遠慮がちに出ると、クラヴィンが納得したように頷く。
占い師の殴り合いが激しかったのだ、今出ても信頼は低くはない。出来れば、もう少し早く出て貰いたかったが。


「すまない、タイミングを掴めなかった」

「まだ狼は残っているのよ……!私が見つけ出す、だから」

「いや、占いローラーでいきたいと思っている」


目を細め、エラルドはローレルに告げる。
その言葉に、占い師二人は目を見開いた。

全部でいた市民十一人。既に処刑、狼に殺害された市民は六人、残りは五人。
このままいけば吊れる人数は残りは三人。人外は占い師一人、霊能者一人、狩人一人、狼二人、狂人一人、全部で五人。

既に、占い師の仕事はほぼ終わっている。


「……いいよ、占いローラーでも。俺はたいちょーについていく」

「……!」


ローレルの鋭い眼差しがオルトへと向かう。


「どうして生き残ろうとしないの……?狂人だから吊られてもいいって……思ってる?」

「だから、俺は占い師なんですって!……仕事はもう終わった。あ、たいちょー一つ」


腕を組みながら、ん?とオルトに先を促す。


「……残り、狼何人ですか?」

「……一人だ。もう一人は吊れてる」


ざわ、と静かだった場が彼の一言によって波を起こす。
それを聞いたオルトは安心したように溜め息を吐き出した。


「今日は、ローレル、お前を吊る」

「ッ!……考えて、五人残っているわよね?霊能者が貴方、エラルド。私が占い師、オルトは……おそらく狂人。クラヴィン、貴方は市民……ブレインも市民ね?」


確認するように、残っているみんなの表情を見る。


「クラヴィンは私が占った、だから市民よ。狂人オルト、ここでCOしないってことは、多分貴方は市民……そう考えると、貴方が一番怪しいのよ……エラルド!」


その言葉に、皆の注目はエラルドへと注がれる。
しかし、動揺するでもなく、彼は目を伏せて考えた。


「……苦しいな、その言い訳は」

「どうして?」


少し眉を寄せ、瞳を開く、視線を下に落としながら淡々と自分の考えを述べる。


「貴方が真ならばそれでいい。だが、偽だとして、だ。クラヴィンを白と言うのが怪しくなってくる。そこでラインが繋がっている?狂人を初手で囲った?……囲う必要はないと思うがな。それと……貴方は、今まで白しか出していない。オルトは一人黒を出し、そしてそいつが狼だった。……俺は、こいつを信じる」

「っ、わかった……オルトとエラルド、そこで繋がっているのね……?狂人と狼、もしかしたら……彼が占ったのは白、じゃなくて黒なんじゃない?」


最終的に、狂人という立場は市民にカウントされるために残しておいても損はない。
狼だけを、確実に殲滅させればいいのだ。

恐らく、エラルドを吊ろうといっても……このままいけばローレルに票が入ってしまう。


「見苦しいぞローレル……いや、人狼」

「っ、違う!」

「……投票しましょう。霊能者……エラルドに従ってください」


ローレルは目を見開き、唇を噛み締めた。
このままでは、市民は食い尽くされてしまう。彼女視点では、エラルドがLWで決定なのだ。どうしても吊りたいが……信頼はすでになかった。


*


翌朝、集会場に顔を出したのは__


「おい……なんで、なんで……」


クラヴィンが、死んでるんだ__?

恐ろしくて、言葉に出来なかった。
まるで、見世物のように集会場の真ん中にそれはあった。首元から流れる鮮血、首元は肉と血と骨で見るに耐えないものとなってしまっている。彼の表情は驚きと、悔しさが混じったもので……涙を流したのだろうか、それらしき跡が頬に残っていた。

死体が出た……つまり、人狼は残っているのだ。


「おはようございます」


ブレインが驚き振り返る。
ニタリ、と口元を歪ませているオルトの姿。


「てめぇ……!」

「いやいや、俺は狂人ですよ……ねぇ?たいちょー?」


それは、楽しそうで。
ブレインはハッとして再びクラヴィンの死体があるほうへと身体を向けた。
集会場の片隅、壁に背を預けこちらに……獰猛な瞳を向けたエラルドの……狼の姿があった。耳、そして尻尾……更には指の先が少し変化しており、鋭い鉤爪がギラリと太陽の光を反射させている。


「おま、え……が……?」

「なんの疑いもなしに、間抜けな市民共が俺を信じてくれて助かった」


それだけ言うと、エラルドは飛び出す。そして__首元へと、鋭い牙を突きたてた。そのまま肉を、骨を引き千切るとブレインの身体をクラヴィンの亡骸の方へと投げ飛ばす。
ドサリ、と重なる既に生がなくなった身体。
口に含んでいたものを適当に咀嚼すると、そのまま喉に流し込む。


「最初は、本物かと思ったよ」

「いやぁ、危なかったですよ……騎士、間違えてこっち守ってくれたみたいですしね」


ニコリ、と笑みを浮かべるオルトにエラルドはふあ、と欠伸を漏らす。


「……さて……次の村に向かうか」

「はい、たいちょー」

「……オルト」


既に、人間の姿へと戻ったエラルドはオルトを引き寄せると唇を重ねた。


「ん、」

「ありがとな」

「いーえ、俺は隊長についていくよ……ずっとね」


結局、勝ったのは狂人だったのです。




***


あとがきという名の反省文

ここまで読んでくださってありがとうございます。雪風です
今回はちょっと補足もいれたくてあとがきを書いております(あとがきじゃなくて反省文ですが!)

まずはいつもどおりの用語説明です↓
[役職]
占い師:人狼ゲームでのキーマン。夜ターンにて一人を占い、人狼か市民かを確かめることができる。また役職は分からない
狂人:人狼チームだが、カウントとしては市民チームとなる。また占い師、霊能者からは「市民」と判定が出る。また、人狼が誰なのかはわからない
霊能者:死んでいった人が人狼か市民か視れる。また、役職はわからない
人狼:人狼チームのキーマン。夜ターンにて人間を一人噛み殺すことができる。狂人が誰なのかはわからない
騎士:夜ターンにて、一人を守ることが出来る(人狼でも守れる)。また、自分の身は守れない

[用語]
白:本来は「○」と表示。市民側という意味合いを持つ
黒:本来は「●」と表示。人狼側という意味合いを持つ
真:その役職の人が本物という意味
偽:そのまま偽者という意味。この場合、人狼か狂人が語っていることが多い(今回は)
ローラー:複数人いる役職を吊っていくこと。これによって確実に人外を吊るすことができる


色々見解が違ったらごめんなさい、ということで……

あとはこんなんじゃねーよ!と思う方もいらっしゃると思いますがっ!そこはスルーしていただけるとありがたいです。私自身、そこまで人狼をやったことがないので……
とある曲で狂人がすごくかっこよかったのでついつい……書いてしまった所存です


あとどーしてこの二人なんでしょーね\(^q^)/
他の人が……あんまり思いつかなかった……(これは酷い)
あとオルトが若干狂ってる……いや狂人ポジションだからいいのか……^^;


えと、よかったらコメントとかいただけとありがたいです……!
それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!












とてもかっこいい曲なので、皆さん一度聞いてみてください→『レイジークレイジー』

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