浅霧遥様より



愛してるよハニー(笑)



お願いだからテスト勉強教えてください。」
「嫌です。」
「そこをなんとか!!」
「ギリギリで頼むなって言っただろう…。」
「たのむ!なんでもするから!」
「なんでも…?」
「なんでも!」
この時私は分かっていなかったのだ
後々テスト勉強くらい、自分でやればよかったっとか、もっと早く頼むべきだったとか、すごい後悔をすることになるなんて。


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「喉…かわいた。」
「杜仲茶ならあるよ。」
「…なぜそれをチョイスしたんだ…」
「うまいじゃん。」
「これ以上血圧下げてどうするんだ…コーヒーがいい…微糖のやつ。」
「わかった」
ここから自販機は遠いんだよな、しかも金は私持ちなんだよな、あーもー!
一週間前の自分を呪い殺したい!

『1ヶ月私の言うことはなんでも聞け、それが条件だ。』

それが長次と交わした約束。
普段から暴君と呼ばれ、長次を散々振り回してきた。
たぶんその報復なんだろうな、約束は約束だし、逆らうわけにはいかない…。
でもまぁ長次かわいいし、あんまりワガママ言わないやつだから、少し新鮮な気もする。
実はちょっと恋愛的に好きー

「よぉ、最近噂の小平太くん!」
「留三郎…何が噂なんだ?」
「あの暴君様が、急におとなしくなったってすごい話題だぞ?彼女に尻敷かれてるとかなんとか。」
(尻敷かれてる…?尻…尻…尻でできた絨毯?留三郎の彼女の家にはそんな怖いものがあるのか…!)
「で、実際のとこどうなんだよ、尻敷かれてんだろ?」
「ないないないない!私のはほら…すごい乙女系っていうか、食べたら甘そう(な柄)っていうか、母ちゃんの趣味っていうか!」
「食べたら甘そうって…そんなことまで聞いてねぇよ!」
「あ、そう?」
「つうかさ、母ちゃんの趣味って…もしかして許嫁…ってことか?」
(いいなずけ?良い菜漬け?)
「趣味って程までじゃないけど…まぁ、
そうかな?」
「…まじで!?」
「え?あぁ、まぁ。」
「〜〜っ!そうかそうかそうだったのか!ありがとう!ありがとう!ネタ提供ありがとう!」
「はぁ?」
「ほら俺新聞部じゃん!」
「ふーん。」
「だからこのネタで、記事かかせてくれ!!」
「好きにしたら良いんじゃない?」
「まじ?サンキュー!じゃな!」
絨毯と菜漬けの話なんて、つまんないと思うんだけどなぁ。


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なんだこれはなんだなんだこれは!
小平太に許嫁?許嫁に尻を敷かれてる?許嫁なんて居る素振り、見せたこともないくせに?うわ嫌!
許嫁なんていたんなら、はじめから言ってくれれば良かったのに。
そしたら小平太を好きになんて、ならなかったのに。
ギィ…と、壊れかけた屋上の扉が開く。
こんなに便利が悪くて、汚い場所、年度始めこそ人はたくさん来ていたが、今使うのは私と小平太ぐらいしかいない。
案の定扉を開けたのは小平太で、いつも通り満面の笑みでこちらを覗いていた。
「長次もう屋上来てたのか、早いな!」
「小平太…記事みたぞ…。」
「ん?あぁ、この前のやつだな!!」
「これ、本当に…?」
「うん。」
嗚呼、やっぱり、本当なんだ。
「ほら、今日はオムライスだ!」
とてもじゃないけど、オムライスとは思えないくらいぐちゃぐちゃなそれ。
なんでこんなに黄土色なんだ、なんでチキンライスが青なんだ。
小平太の手料理が食べたくて、先週からずっと小平太が弁当を作っていた。
でも、まずいものはまずいし、正直食べれたもんじゃなかった。
でも、小平太がすきだから、憧れてたから、でもこうなるともう。…私は、弁当箱を逆さまにした。

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わがままを言うぶんには別に良いんだけど、やって良いこととやっちゃダメなことってあるじゃん。
つまり、そういうこと。
「いい加減にしろよ!」
ビクッと長次が戦くのがわかる、普段なら心配するところだ。
だが今は別、私は完全に怒っている。
八つ当たりじゃない、逆ギレでもない。
私は今、正統に怒っているのだ。
「長次…どういうつもりだ?」
「…うるさい」
「うるさいじゃないだろ!」
私が一喝すると、長次はすっかり黙ってしまった。
「なんで、こういうことするんだ。」
「…。」
「おい。」
わざと声音を低くすると、おどおどし始めた。
そして長次の口がやっと開いた。
「だって…」
「だって?」
「…やっぱりいい!」
「やっぱりいいじゃなくて、聞いてんだろ!」
私がついそう怒鳴ると、長次が観念したようにうつむき呟いた。
「…けが。」
「怪我?」
「許嫁が……いたならいたって最初から言えよクソ野郎!そんな奴のまずい料理なんか食べられるか!」
…は?
なんでどいつもこいつも漬け物なんかに興味を示すんだ?
「長次、なんでそんなことで怒ってんだよ…。」
「そんなこと…?そんなことじゃないだろ!ずっと好きだったやつにある日突然許嫁がいましたなんて、彼女とかでもない!将来必ず結婚するって、勝ち目なんかないじゃないか!」
は?結婚?何を言ってるんだ?
「長次?私はどんなに良い菜漬けがあっても百パーセント長次を取るし、菜漬けなんかと結婚する人間いないぞ?」
「……………菜漬け?」
「菜漬けがどうかしたか?」
「あー…この記事のこの漢字、読めるか…?」
「読めん。」
「これはい・い・な・ず・けと読むんだ、要するにこの記事を書いた奴の勘違いのようだな。」
「で?許嫁って?」
「結婚を約束された男女。」
…え?
それに長次がガチギレしたってことは、何て言うか要するに、
「嫉妬…?」
「あーもーハイハイそうですそうです!俺は男の小平太がラブの意味で好きな変態ですこれで良いのか!」
「いや怒んないでくれよ…本気、なのか?」
「…本気じゃないならこんなにキレないだろう!!」
「…」
「…」
長次が叫んだのを皮切りに、重たい沈黙が淀む。
おなかが痛くなる、どうしよう、なんて言えば良いんだろう。
ごめんなさい俺も好きです?
いやもっとインパクトがなくちゃダメだ。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
「…気持ち悪いと、思ってるんだろ。」
「…」
長次がネガティブモードに入ってしまった、どうしたらいいんだ…!
「仕方…ない、な。」
仕方ない!?それって要するに今までの言葉(好きとか)を白紙に戻すってことか!?嫌だそれだけは、しかし言葉がでない緊張し過ぎだおちつけおちつけ、ここはラマーズ呼吸法でひっふーひっひっふーダメだ逆に手汗が酷いうがあああはああ!!!!
「どうせ…私なんて…!」
ついにぼろぼろ鳴き始めた長次に対してつい言ってしまった。
これ多分一生ネタにされるんだろな。
「あっ!愛してるぞハニー!大好きだーー!」
きょとんと訝しげに私を見る長次に、ニヤリと笑いかけたら、何だか今までの人生で一番素敵な時間な気さえした。
「今の聞きましたぁ〜立花部長〜?」
「愛してるぞハニー!でしたねぇ食満副部長〜。」
「食満…仙蔵…!」
「長次本日初喋り〜♪」
「まぁあの様子じゃあ愛の力(笑)で長次の音波レベルの声も聞こえてたみたいだがな。」
うざい、うざい、最高にうざい、うがああ!!
「おぅ、小平太怒んないでくれよ、新聞部としてじゃなく、今日はアニメ研究会および漫画研究会としてきてんだ!」
「要するにホモカップル成立によるだな、冬コミに向けての新刊ネタを…おい!どこにいく…!?」
うるさい小蝿はほっといて、せっかくの相思相愛なんだ、デートでもするぞハニー!まだ口にはしてないけれど、長次は笑ってこっち見てる。ほらね、愛の力(笑)は、バカにできたもんじゃないだろ?




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放送コードの浅霧遥様から相互記念頂きました!

キレ長次からの開き直り長次に私のテンションが限界突破した。
浅霧様の書く長次がドストライクでもう/////
あとね、小平太がね、アホなのに男前なのもいいよね!

浅霧様!素敵こへ長をありがとうございました!!




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