恋愛コンプレックス



※現パロ
 長次女体化






それはお風呂上がりのこと。
中在家長次は女子にとっての試練の時に対面していた。今、彼女は裸にタオル一枚纏っただけという何とも心許ない格好だが、今から立ち向かう敵にはむしろこれが最善の装備。その状態のまま大分長いこと渋っていたが、腹を括り一歩ずつ踏み込む。現実を見たくなくて、ちらちらと上下する電工掲示板からは目を反らしていたが、ぴぴっという軽快な電子音で恐る恐る足元に目をやった。


「5……8…kg…。」

「長次、まだか」

「!?」


がらがらと音をたてるドアを開き、躊躇なく中を覗いてきたのは彼女の彼氏である立花仙蔵。部屋でも風呂でも先ずはノックしろとは再三言ってはいるのだが、聞く気はまったくないらしい。デリカシー?何それ美味しいの状態だ。勿論今回も硬直する彼女には気も止めず、ずかずかと入ってきている。


「出、てけっ!」

「は?何故だ。ほう、お前、58kgなのか。……58kg!?」

「見っ、るなぁぁぁぁ!!」

「……私と…一緒……だと…!」

「え……」



暖かいはずの脱衣場が氷ついた。



(うっわあぁぁぁ、誰か嘘だと言って!いや、確かに身長あんまり変わらないけど!女装が恐ろしく様になるほど華奢なのも知ってるけど!!それでも流石に彼氏と体重一緒ってどうなの?まずい?まずいの!?まずいのか。胸の分ってのは言い訳?だよな!分かってる!よし、ダイエットしよう)


(くっ、流石にこれはキツいものがあるな…。身長ほぼ変わんないとはいえ!体力は圧倒的に向こうが上とはいえ!!男女の骨格の差とかあるだろう!?これは流石に筋肉なさすぎ…なのだろうな…。腕相撲も勝てた試しないものな。男の威厳皆無だ。よし、…筋肉つけよう)


「「ちょっと走ってくる」」

「「え?」」


奇跡の意見一致。
ただし意は異なる。




(え?なんで?仙蔵はこれ以上体重落とす必要ない。なに目指してるの?あ、付いてきて横で嘲笑うとか?とんだドSだな。)

(は?何で長次まで筋トレに参加?もう十分だって。小平太に対抗出来るんだろ?何だ、遂にオリンピックでも目指しだしたのか?)


と全く検討外れな疑問を抱きつつも、お互い自分で精一杯なため、取り敢えず一体飲み込んで一緒に走ることとなった。で、早速準備に入ったのだが、普段スポーツを嗜んではいない仙蔵が、トレーニングウェアなんぞ持ってないぞ…、私は形から入るタイプなのに!と悩んでいるところに、私のでよければ、と差し出されたものが(勿論男性が着ても可笑しくないデザインである)問題なく着れたこと、その上、若干とはいえ余裕があったことに、二人が正反対の意味で本気になったのは互いに知るよしもないことである。






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華奢×筋肉だっていいじゃない。


二人とも170cm以上のつもりだが、58kgってどうなの


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