泣けない弱さ



※攘夷時代
 高杉目線
 泣かない強さの続き。


ひたすらに強さを求めだしたのはいつだっただろうか。


いつしか、俺のなかで強さとは、弱さを見せず絶対的な力で君臨し続けることになっていた。

そして、ひたすらに強くあれば周りも自然と背中を追ってくれる気になっていた。



今、俺がこの道を進むのに躊躇いも後悔も微塵もないが

ヅラの、仲間と向き合い素直に協力を求められるところ

辰馬の、持ち前のバカ明るい性格で周りを引き込んでしまえるところ

銀時の、気丈な振りしながらのらりくらりと巧いことやってのけるところ

そんなあいつららしい強さが時にものすごく眩しく見える。


そんな時決まって、松陽先生の言っていた強さというのはこういうことなのかと振り返ってしまう。


しかし、俺にはあいつらの真似事なんて出来やしないし、馴れ合いなんて必要ないと無理に割り切っていた。



そんな俺を「強いけど脆い」となじったのは誰だったか。


あの時は鼻で笑い飛ばした。


だが、情けないことに今の状態ではちっとも笑えねぇ。



鬼兵隊が予想以上の大打撃をくらった。



天人の奇襲に俺はなにも出来なかった。


それどころか、俺のせいで怪我した奴、その上死んだ奴さえでた始末だ。



そして今、仲間の弔いすらしないまま自室に籠もっている。


しっかり弔いもして、一緒に泣けるのが一番なんだろうが、そんなことは出来ない。


強い大将でいなければ。
君臨し続けなければ。



心はだんだん病んでいく。



「おーい、高杉ー。」


俺にかまうな。


「入るよー。入っちゃうよー。」


頼むから放っておいてくれ。



「来るな!!」



叫んではみたものの、あいつが聴くわけもなく、
勝手に俺の領域に踏み込んでくる。


最初のうちこそ拒絶していたが、そのうちにその心地好さに全てを任せてしまった。






「……っん?」

外はもう暗かった。
いつの間にか寝ていたらしい。



あぁ…、


夢、か。




しかし、まぁ、勝手なもんだな。


強くあろうとするが故に、かなりのものを拒絶してきたくせに、銀時だけは求めようとするなんざ。


「…っ。」


目元に残った熱は涙かそれともあいつなのか。



なんて残酷な
夢落ちのハッピーエンド。




‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

受け高杉は弱くないけど脆いと思う。
そこにつけこまれちゃうんですよね、分かります^^


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