長い付き合いになるからか、学園の生徒は組毎に仲がよかったりするが、とりわけ1年は組のよい子達は仲良しだ。

そりゃあ喧嘩をする時も、級友の才能に嫉妬を覚える時も勿論ある。
だが、もとより仲の良さもあって長続きしない。
互いをライバルだと競い合うことも出来るし、相手を尊重する事だって出来る。

忍者としての心構えや在り方などはさて置き、人として一番大切なものを持っているのは1年は組くらいのものだと、気付いている教員は実は少ない。
その事に気付いて上手く引き立てようとしている土井半助と山田伝蔵が、トラブルメーカー揃いのは組の担任になったのは恐らく運命だったのだろう。
……これからも降り懸かるであろう苦労に、耐えて貰いたいものである。


―――さて、その1年は組の仲の良さぶりは、学園の休日にも発揮されていた。


「乱太郎ぉ、こっち全部終わったぞー」

「ありがとうー! 次こっちお願いしまーす」

「あいよー、任せとけっ」


気配もまばらな休日の学園で、は組っ子がじょろじょろと集まっているのは、保健委員会が管理する薬草園だ。
草むしりと水やりの当番だった乱太郎に、珍しくバイトのないきり丸としんべヱの何時もの二人がついていき。それを見つけたは組っ子が、我も我もと集まって乱太郎の手伝いをし始めたのである。
広い薬草園も11人でやればあっと言う間に終わる。…のが普通であるが、話しながらでなかなか終わらない。
だがそれすら楽しくて、大声で交わす会話はますます増えていった。


「ねえー! これ終わったら何するー?」

「水遊びしようぜ!」

「それこの前、山田先生に怒られたばっかじゃんか」

「井戸の周りびっしょびしょにしちゃったもんねー」

「今日は暑いから、気持ち良いだろうけどね」

「よし、じゃあ皆で町にかき氷売りに行こうぜ!」

「僕は食べたいな〜」

「しんべヱに売りもの全部喰われるぞ、きり丸」

「今日は暑いから、どっか涼みに行くってのは?」

「乱太郎は何したい?」


飛び交う会話に笑いながら水を撒いていた乱太郎は、近くに居た三治郎の質問に首を傾げながら考える。
天気も良いし、日も延びた。
まだ正午にもなっていないから、町に行こうと思えば夕方にはちゃんと帰ってこれる。


「うーん…、川遊びとか?」


川で遊べば先生達に怒られる事はないし、魚も釣れる。
水辺だからもちろん涼しい。
は組の中心人物(またの名を台風の目)がぽつりと零せば、周りでくるくる回る仲間(またの名を暴風雨)は即座に満面の笑みで頷いた。
乱太郎の意見が何かと第一な彼等の、この後の予定は決まったのである。

楽しい目的が出来れば、一丸となって難問さえ片付けてしまうのが、は組クオリティ。
あっと言う間に薬草園の手入れを終えた子供たちは、きゃらきゃらと笑いながら門の前にいる小松田に駆け寄っていったのだった。


ぼくらの真ん中



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