一年の頃はただただ無邪気に、それこそ当たり前のように触れあえた。 校外授業の時の移動中には手だって繋いだし、肩を組んで歌だって唄った。喜んだり怖がったりした時はお互いにしがみついたりした。乱太郎はぼくに触れたし、ぼくも乱太郎に触れた。 それもそうだ。だってぼくたちは友達で親友でクラスメイトだったんだから。 それは、今も変わらないはずなんだ。変わらないはず…、だったんだ。
「庄ちゃん」
「ん? どこ?」
忍たまの友を持って、へらりと笑いながらやってきた乱太郎は相変わらず小柄だけれど、一年の頃より伸びた髪。 薄くて伸ばし難かった髪を、丁寧に整えたのは、今は最高学年にいるタカ丸さんだ。…すこし、妬けてしまう。
並んで文机に向かえば、こつりと肩がぶつかった。ドキリとする。でも、久しぶりの触れ合いが肩だなんて、それはあんまりだと思うのは…いけないことなんだろうか。 触りたいと思うのは、思ってしまうのは、友達だから駄目なのだろうか。 思い切って乱太郎の背中に腕を回して、肩を抱いた。でも、あの無邪気な頃のようになんて触れなかった。
だってぼくは、乱太郎が好きだ。友達じゃなくて、夫婦(めおと)になるような大人のように、乱太郎が好きだったから。 昔みたいになんて、とうてい戻れっこない。
乱太郎はすこしだけ頬を染めて、俯いた。肩に乱太郎の頭が寄せられる。ドキドキと心の臓が鳴った。
ぼくらの肩は震えてた。
-------------------- 友達以上恋人未満。 お互い好きだけど友達の線を踏み越えられないでいる…、とか良くないッスかね! |