「南沢さん」
そう呟いて、倉間は俺に触れるだけの優しいキスをした。
日が傾いてきた頃、放課後の静寂に包まれた部室に倉間と二人っきり。
他のやつらはもうとっくに帰っていて、俺達を邪魔するものは何も無い。
「倉間…」
もっと、と強請るように倉間の首に手を回す。そうすると倉間は何も言わずに短いキスを何回もしてくれる。
優しく、優しく
まるで鳥が啄むようなキスは、俺をいつも幸せな気分にする。
でもやっぱりまだ足りなくて、倉間がもっと欲しくて、俺は自分から少し強引なキスをする。
そんな俺を倉間はすんなり受け入れて、浅かったキスを深くする。
それが俺は酷く嬉しくて、また飽きることなくキスを強請った。
「どうしたんスか、今日は随分甘えたですね?」
まあ可愛いからいいけど、なんてキスの合間に倉間に言われる。
可愛いってなんだ、倉間のくせに生意気。
そう思ったけど、今の俺は大層機嫌がいいので言わないでおいてやる。
「…?マジで今日は大人しいですね。どうかしました?」
何も言い返さない俺を不思議に思ったのか、そう問われ、前髪を梳かれて額にキスをされる。
俺は静かに目を閉じた。
なんでだろうな、俺にもわかんないや。
そんな言葉も感情もすべて、俺達を包む深いオレンジに呑み込まれて、溶けていった。
放課後に、甘いキス
title.byフォルテシモ
うん…短い。しかもなにこれゲロ甘。…初の小説がこんなのでいいのかなー