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ある日
巴が帰ってきたと聞いた
正確には連れ戻されたというのだが・・
俺は急いで水無瀬家へ向った
でも、巴に会うことは出来なかった
その代わり
巴の子供に会った
円という名前の幼い子供
心が締め付けられるように痛かった・・・
巴の子供
好きな人の子供
巴は綺麗な銀色
円は薄い茶色
髪の色も瞳の色も全然違う
でも、眉も口元も巴に似ている
パーツは巴だな・・
俺の知らない間に
好きな人が出来たのか
俺の恋は叶わないのは分かっていた
覚悟は出来ていたんだ
それでも、苦しい
そうか・・
俺と巴は
結ばれない
それなら、親友として今は傍にいよう
おまえのことは今は諦める
今は・・だけど
**
隣で熟睡している円と巴
愛おしい
2人とも
俺は好きだ
円は親のような感情
でも、巴の好きな感情は
未だに残っている
あの日、俺は巴と友達でいると決めた
でも
心の奥から、溢れそう
もう我慢出来ないよ
そっと寝ている巴の唇に自分のそれを重ねる
「んっ」と寝返りをうつ巴
昔からちょっとしたことでは起きない彼
「ともえ・・」
愛おしく、彼の名前を呼ぶ
好きだよ
やっぱり、もう耐えられないよ
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