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「お待ちしておりました。巴様」

黒いスーツの男、髪は七三分け
顔は整っていて、多分20代でろう
父の執事 朝田優紀(アサダユキ)だ

会うのはこれで2回目だ

彼について行き、父の部屋へと向かう

止まったのは父の部屋
襖には四季が描かれている

「巴様が参りました」

「入れ」

昔と変わらない父の声で
どこか懐かしい気持ちになったが、

それと同時に恐怖が俺を襲う

苦手で、怖い存在

出来ることなら会いたくない

襖が開かれ、そこには父と兄の姿があった
――円はいないんだ

「ほら、そこに座りなさい」

父は黒の着物姿
兄は灰色のスーツに黒いネクタイ姿だった

父に言われた通り、置かれていた座布団の上に座る

「只今、帰りました・・」

手を揃え、お辞儀をする
作法は嫌というほど、やられてたからな

顔を上げると父は満足そうだった
機嫌がいいな・・珍しい

「よく帰ってきたな。いつまでいる予定だ?」

「最終日まで出来れは居ようと思っています」

最終日の午後ぐらいに出ても学園にはすぐに帰れるし
案外学園と家は近いからな・・

「そうか・・もう下がっても良い」

短い会話
いつもこんな感じだ

全然会話なんてないし、食事も別で

父と会うことすら稀だ


今ではそれが助かる
同じ空間にいるのが辛いんだ

「失礼します」

俺はそれだけ言って父の部屋を後にした


朝田は他の仕事があるため、1人で大廊下を抜けて別邸へと向かう
広い庭もあるため、歩いて20分くらいかかる

別邸だが、露天風呂まであるのだ
本邸にも露天風呂はある

「本邸も別邸も分ける意味が分かんねぇ」

くっつけちゃえば、早いのに・・
めんどくさいことをするものだ







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