08 片想い終結記念日



「ゆーきむらくんっ」

見覚えのある…というか凄く目立つ後ろ姿に声をかける。
まあ学校中の人気者である彼だからね。きっと大学まで知れ渡っているのだろう。
大学生と中学生が付き合ったら犯罪だと思うけどね。

「苗字さん?」

「あれ、名前覚えてくれたんだ」

…そりゃああれだけ毎日来られたら、
そう顔が語っているぞ幸村くん。

「うん、あれだけ毎日会えばね」

にっこり笑って言う幸村くん。
今日も素敵な笑顔。
ジャッカルとかブン太に聞いたら゛あれは魔王の笑みだぜ゛とか言うのかもしれないけど
あたしにはただの貴公子の微笑みにしか見えないね。
素敵笑顔、まじ大好き。あ、まじとか幸村くんの前では絶対言わないよ。
女の子らしくなるからね、えっへん。

「…苗字さん」

「はーい?」

「…全部口に出てるよ…」

「え、」

「…っ」

「え、あ、…」

2人して赤面。
大好きとか言っちゃったああああああ
どうしよう。え、あたしどうすればいい?取りあえず逃走?
でも幸村くんの赤面なんて滅多に見れな…そんなこと言ってる場合じゃないし!

「…幸村くん、」

「何…?」

「…ごめん…ね、?」

「何で謝るの…、苗字さん馬鹿でしょ」

「幸村くんに馬鹿って言われた!」

「…何喜んでるの」

「いや、何か仲良くなれた気がして嬉しくて?」

「…ああ、もう」

呆れたように幸村くんは1つ溜息をついてあたしをだきし…!?抱きしめた!?

「え、っあの、ゆきっ…幸村…くん?」

「…気づいてよ、」

「…?」

「好き、苗字さんに惚れちゃったみたいだ」

「え、ええええええ!?」

「…そんなに驚かないでよ」

「だって…人違いとかは…?」

「人違いでいいの?」

「だっ駄目!駄目です…」

「ふふっ、苗字さんは俺のこと好きだよね?」

好きだよね?って聞くところに自信が満ちあふれてるよね…
まあもちろん好きなわけだけどね。

「…好き、」

「ん、」

「ゆっ…幸村くん、あたし誕生日おめでとうって言いにきたんだけど…」

「ふふっ、ありがとう。誕生日プレゼントは名前でいいよ」

「あたし…!?」

さりげなく名前だしね。

「いつまで幸村くんなのかなー」

「せっ…精市くん、」

「まぁ合格かな、いつかは呼び捨てにしてね」

…展開が早すぎてあたしの馬鹿な脳じゃ収まり切りません。
頭がショートするよ!

<片想い終結記念日>

(誕生日おめでとう、)

(…絶対に忘れられない日になりました)



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