02 好きだった、なんてもう遅い



煩い教室がやけに静かに聞こえる
ある一つの話題以外が、

「幸村君ってC組の――さんと付き合っているんだって!」
「えぇ!!?私が聞いた奴と違う〜」
「私てっきり今のマネージャーさんと付き合ってるって・・」
「どっちが本当なのよ〜!!」

正解は――どっちもだよ

誰にも聞こえないくらいの小さな声で口を動かす
幸村と聞いて呆れるほどの女の噂が絶えない。
ねぇ、今日は誰と一緒に居た?正解は、生徒会長さんだよ。

「やぁ、久しぶりだね・・・少し見ない間にまた綺麗になったね」

そう言って清々しい笑顔で人の髪の毛を触って寒い台詞を吐く
そんな奴を睨みながら私は手を振り払った。

「触るな、それに今の彼女の教室はアッチだよ」

まだ続きで幸村に邪魔された本をまた開いて略ガン無視をした。
親切さに今アイツの新しい彼女のクラスを教えてあげた。

「ふふ、今なんて遠まわしの言葉じゃなくて彼女だけで良いのに」

バイバイ、と誰も返事をしないのに彼は教室を出て行った。
嫌い、嫌い嫌い嫌い――大っ嫌い

「ねぇ、アンタ昔幸村と付き合っていたの?」

「は?行き成り何・・・」

「アンタがあんなに幸村を毛嫌いする理由があるのかな―って」

お昼休み一緒に昼食を食べていた友人がポツリと喋った。

「・・・まぁ、元カノだったしね」

「あぁ〜だから、でも何で?普通は元カレカノってズルズル引きずる筈なのに・・」

「――好き、だったよ」

誰も居ない屋上で空を見上げて今の気持ちを述べた。

「だから嫌い、大っ嫌い、あんな、あんな奴――好きになるんじゃなかった」

何で泣いてしまったのか、なんて今は気にしない。
あの日彼から告げられた告白と別れの言葉、私が彼をもっと嫌いになれば良かった。
何度彼が新しい彼女を作ったり、何度女に優しくしたって――結局は誰も捨てられる。
拾って、捨てて、拾って、捨てて、その繰り返しだ。

結局、私はその時間泣き崩れて友人に言われ保健室に行くことにした。
もう、これで最後にしよう。

「――もう、幸村のことは忘れるよ」

「本当にそれで良いの?」

「うん、・・・じゃあ、保健室・・行ってくるよ」

既に真っ赤に腫らした目で私は屋上を出て行った。

「・・後悔、かぁ・・・・・あの子は忘れるって言ったら忘れる―――其処でずっと止まりっぱなしはお前じゃないのか、――――幸村」

「っ・・・・気付いていたんだね」

「後戻りなんてしたくないなら、早く追って来い」

「・・・・俺は、」

拳を固く握り締める幸村を見て本当に不器用な二人だね。
ポンッと幸村の肩を軽く押した。

「行って振られて来い!!」

今なら元に戻るよ
幸村はその言葉を聞いて勢いよく屋上から出て行った。

居場所はもう知っている。後は君の返事だけだよ。
走っていたら一番逢いたい人の後姿を見つけた。
もう少し正直になってみたら良いんだよ。

好きだった、なんてもう遅い
(いつも見ない君の表情とその涙)
(本物の愛を見つけることが出来たよ)




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