ストーカーってすごく最低な行為だと思う。人の気持ち考えないで、他人をつけまわして。あたしはそのストーカーにつけまわされてる。相手はもうそれはそれは強い人。正直うざいしなんとかしたい。できる事ならぶん殴ってやりたい。もううんざりなんだよ。誰でもいいからこのストーカーからあたしを助けて。
助けて土方コノヤロー!


「っつー訳で助けてください」

「どんな訳だよ、つーか今授業中だからな」


がつんと椅子の背に頭を叩きつけられた。どくどくと流れる鼻血なんかに目もくれずあたしは土方を見つめる。


「もううんざりやねん、こんだけあたいが頼んでるんだからなんとかしてくれたってええやん!」

「なんで関西弁なんだよ!!腹立つなー」

「そうなんだよ、あたしはもう限界なんだよ。頼れるのはもう土方しかいないんだよ、辛いんだよ」

「俺何にも言ってねえし、何がそうなんだよ、だ」


面倒だからあっちいけ、なんて冷たく言い放つ土方に殺意が芽生えたけどその苛立ちは、目の前で授業を受ける山崎をぶん殴る事で発散させた。
お願い、ともう一回言ってみれば、土方はどうやら折れたのか用件だけ言ってみろ、と言葉が返ってきた。


「相手はあのチャイナ娘の兄でさァ、一筋縄ではいきやせん」

「で?総羅は俺にどうしてほしいんだ?」

「彼氏、のフリしてくれ」

「無理、他あたってくれ」


ばっさり切り捨てられたあたし。なんでだよ、そんなにあたしが嫌いか。そんなにあたしの彼氏になりたくないか。そんなにあたしを女としてみれないか。
むかつく。


「薄情者おお!最低!ヤり逃げかてめえ!!訴えてやらァ!」

「お前みたいなくそ女に手なんか出してねえよ!!」

「お前だってローションじゃなくマヨネーズで女馴らすくせに!きたねえんだよ!」

「んなマニアックな使い方するかァァ!」

「どーでしたか!!あたしの身体は!若くてよかっただろ!この子は、十羅はどうすればいいのよ!」

「だからお前に手、出してねえだろ!!誰だよ十羅って!俺に関係するような名前つけんな!」

「うるせーんだよさっきからァァ!お前らもうでてけ!邪魔!」


そう言うや否や、銀八はぎゃあぎゃあ騒ぐあたし達の首根っこをもって廊下に引きずり出した。
冷たい風が肌に当たり、思わず身震いをしていれば、廊下の扉は再び閉められ何事もなかった様に中では授業が再開されていた。

(まともな授業しない癖にあの天パ、覚えておけよ)

小さく舌打ちをすれば、隣で不機嫌の土方がため息を漏らした。軽い罪悪感に襲われて、軽く俯き謝罪の言葉を述べる。


「…すいやせん、あたしのせいで」

「俺も悪かった、だから気にすんな」

「そうだヨ、悪いのはこのマヨネーズ男だヨ。俺の総羅にくっつきやがって!今でも内心二人きりだって喜んでんだろ?キモーい」


無言であたしは奴に蹴りかかった。けど、それはやっぱりひらりと交わされてしまう。悔しいから上履き脱いで投げつければ、それは軽く奴にあたった。


「痛いなー?ちょっと総羅はしゃぎすぎじゃない?」

「はしゃいでねえよ、お前どっからわいて出た?」

「なに?俺に会えて嬉しいの?やだなあ、毎日俺は総羅を見てるのに」

「誰かァァ!通訳呼んでェェ!」

「それより子供がなんだって?俺との子?強い子が生まれるネ!名前は神羅ってどう?」

「あたしに関係するような名前つけんな!つーかお前との子な訳ねえだろ!殺すぞ!」


こいつと話してると頭が痛くなる。これほど同じ人間に殺意がわくことはないだろう。助けを求めるかのように、視線を土方に向ければ面倒事には関わりたくないのか、綺麗に目を逸らされた。


「てめっ、なんで目を逸らすんでィ!」

「そんなに見つめあいたいなら、俺が相手してあげるヨ?」

「お前は黙ってろ、二度と話せないように口塞ぐぞ」

「何で口を塞ぐの?総羅の口で俺の口を?大胆だネ」

「本当まじ勘弁してくれィ、助けて土方コノヤロー!」


土方に縋り付けば、めんどくさそうにあたしを引きはがす。やっぱり面倒事はごめんなのか、ため息まじりにやめろと言いやがった。畜生、人事だと思いやがって。こうなったら奴にとことん迷惑かけてやろうじゃねえか。
あたしの何かに火がついた瞬間だった。
ぐいっと土方の腕を掴み、引き寄せ一言。


「この人あたしの彼氏です」


だから、あんまりあたしに付き纏わないで。と言葉を付け足した。





(固まる奴らに笑いをこらえるあたし。なんて不自然な光景だったのだろうか。)



2011/02.02
続きます。
初期沖田と神威さんが絡むとシリアスになるかギャグになるかで別れます。






 
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