きなごん様キリリク。


主♂×N




「ブラック君大好き!」


いきなりNがこんな事言い出すもんだから僕は顔を赤くして硬直する事しかできなかった。
馬鹿、僕の方がNの好きよりもっとずっとずっと上だよ。


「どうしたの急に」


僕がそういうと、ギュッとNが抱きついてきた。
いきなりの事で何がなんだかわからなくNに視線を向けると、ふわりと笑った。
彼の頬は気のせいか少し赤く染まってた。


「大好き大好き!」

「ありがとう」


僕の返答に満足いかなかったのか、Nは譫言のように大好きと繰り返す。
本当にどうしたの、そう聞いても返ってくるのはやっぱり、大好きと言う四文字だけ。


「まさか甘えてるの?」

「……違うよ」


やっと大好き以外の言葉を発してくれたNに安心しながらも、じゃあなに?と聞いてみたけど言葉は返って来なかった。
僕、彼に何かしたかな?
脳をフル回転させて考えてみるも、思い当たる淵は見つからず、ひたすら悩むばかりだった。



「ねぇ、やっぱりわからないよ」

「………」

「僕、君に何かしたかな?」

「…違う」


違う?じゃあなんでNはこんなに不満気な表情をしてるんだ。
さらに訳がわからなくなり、頭が混乱してしまいそうだ。


「僕が欲張りなだけなんだ」


僕の胸に頭を押し付けるN。
声のトーンからして、彼は悲しんでいるという感情が読み取れた。


「いいよ、欲張りでも」


言ってみなよ、優しくそういうとNはゆっくり顔を上げ、いいの?と呟いた。
僕が頷くと、染まっていた頬をさらに赤くさせ、ゴニョゴニョと口ごもってしまう。


「言いづらい事?」

「は、恥ずかしい」

「じゃあ言いたくなったらまた今度言ってよ」

「ダメだ!今言うよ!!」


そんなに大事な事なのか?
もう一度思い当たる点を考えてみるがやっぱりわからず、Nが口を開くのを僕は待つことしか出来ないのだった。


「あのねっ」

「うん」


やはりすぐには言い出せないのか、頭を抱えあーとか、うーとか、唸るNがなんだか可愛いくて思わず口角が上がってしまう。
一応空気を読んで隠そうとしたけどNとばちりと視線が重なってしまい、それは無理になった。


「何笑ってるの?」

「いや可愛いなぁって」

「なにそれ!」


僕はこんなに悩んでるのに!と頬を膨らますN。
ほら、そういうところが可愛いんだよなんて言い出せず、ごめんと素直に謝った。


「もう正直に言うよ!」

「どうぞ」

「……うー」


またまた口ごもるNに僕はついに笑ってしまった。
そんなに恥ずかしいなら言わなきゃいいのに。
そもそも大好きは言えて他は恥ずかしいっていうのもおかしいけどさ。


「ブラック君また笑った!」

「だってNが…」

「もうわかった!次こそ笑われたくないから言う!」


Nにとって、自分が恥ずかしい事よりも、人に笑われる方が嫌らしい。
そういう、ちょっとズレてるところも可愛くて。
また笑いそうになったけど今度こそ堪えた。


「僕、ブラック君に大好きって言われたい!」


顔をタコみたいに真っ赤にしてそう叫ばれた。
あぁ、だからあんなに僕に大好きってNは言ってたんだ。
きっと彼は、僕もだよって言ってほしかったんだと思う。
気づけなくてごめんね。

でも、


(そんな言葉じゃ僕の想いは全然足りないよ!
Nがまた顔を赤く染めた。)




2010/10.11







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