「チェレンはつまらなくねぇの?こんな毎日繰り返して」


正直トウヤにそう言われた時は、同意見だと思った。
確かに毎日同じ事の繰り返し。
僕も飽きてきたところだ。
何か楽しい事ないかなー、と呟くトウヤにそういえば転校生が来るという事を思い出して伝えてみるけど反応はいまいちだった。
そりゃそうか、転校生が来たぐらいで退屈な毎日が変わるなんて事は有り得ないんだから、僕はそう思ってた。


「Nです、よろしく」


なんでだろう、そいつを見たとき胸が高鳴った。
無愛想で、何を考えてるか分からないNと仲良くなりたいと思った。近づきたいとも思った。
そういえばトウヤが、先程楽しそうだから恋がしたいと言ってた気がする。
僕はそんなのした事ないから分からないけど、どうやら今なら分かってしまいそうだ。


「Nの席は、チェレンとトウヤの間の空いてる席だな!チェレン、トウヤ手を上げろ」


僕がぴしっと手を上げたあと、めんどくさそうに、ふぁーいと言いながら手を上げるトウヤ。
それを確認すると、Nは僕とトウヤの間にある席に何も言わずに座った。
普通ここで、僕らによろしくなど言うのだろうけど、Nはこちらに全く興味がないという感じだった。


「チェレン、お前生徒会長だろ?だったらNに放課後学校内を案内してやってくれ」

「はい」


正直担任にそう言われた時はメンドーだと思った。
でもそれと同時にNと仲良くなれるかもしれないチャンスだとも思った。


「N、放課後クラスで待ってて」

「分かったよ」


こちらには目もくれず、ただただ黒板を見つめるNに何故だか嫌な気はしなかった。


────……


「ここが理科室だよ」

「へー」


興味がなさそうに返事をするN。僕はどうしてか分からないけど、緊張でガチガチなのに。
僕とNがふたりきり、これがきっと僕が緊張してしまう原因だと考えられる。


「…N、君は友達を作ろうと思わないの?」


ずっと疑問に思ってた事をつい言葉に出してしまった。
そうだ、Nは休み時間もずっと一人で居た。
すぐにでも友達を作ってしまった方が色々と楽だと思うのに。特に何かするって訳でもなく、やっぱりただまっすぐ黒板を見ていた。


「…僕、人との関わり方が分からないんだ」


そういって俯くN。
本当は友達が欲しいんじゃないのか?
そう思った僕は気付いたら口を開いていた。


「じゃあさ、僕と友達になろうよ」


あ、やってしまった。
何言ってるんだ僕は。
こんな事言ったのなんて初めてで、多分僕はNと自分を重ねていたのかもしれない。
正直トウヤが居なければ、多分僕は学校で友達なんかいなかったと思う。
…ずっと一人だったと思う。


「…本当かい?」
そう言ったNの目は輝いていて。
僕が頷くと、いきなりNが抱き着いてきた。
いきなりの事で、Nを支えきれずぶっ倒れてしまった僕は心底ダサいと思う。


「嬉しいな!僕、トモダチなんて初めて出来たよ!君なんて名前だっけ?」


最初に会った時が嘘の様に、早口でペラペラ話すNに、驚きながらもチェレンと小さく言う。
すると、馬鹿みたいにチェレン君チェレン君と呼ぶNについつい笑ってしまった。


「何で笑うんだ」

「だってNが可愛いから」

「僕は男だ!」


そうだったね、と言うとNは、ぷうと頬を膨らます。
本当可愛いな、そう思った。
…でもそれよりまず、この状況をどうにかしないとね。
心臓がさっきからうるさいんだ。


「N、そろそろどいてくれない?」

「あっ、ごめん」


頬を少しだけ赤く染めて僕の上からいそいそとどくNに安心したのもつかの間。


「これからよろしくね」


そういって僕だけに微笑むNにさらに鼓動が速くなった。
まずい、まさか僕こいつに…。



(顔が赤いよ?と言うNに夕日のせいだと言い聞かせてる僕がいた)



2010/10.02






 
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -