つまらない、毎日毎日同じ事をひたすら繰り返して。
何か楽しい事ないかな、俺がそう言うと隣に居た幼なじみのチェレンに呆れた顔をされた。
「なにいってんの?」
「チェレンはつまらなくねぇの?こんな毎日繰り返して」
「楽しい事ね…、」
うーん、と何かを考えてる様子のチェレンに楽しい事でもあるのか、と期待の目を向けるが、チェレンのその後の一言でその期待は崩される事になる。
「そういえば今日転校生が来るんだよ」
チェレンは生徒会長ということもあり、学校内でまだ誰も知らないって事を知ってる事がちょくちょくある。でも俺は正直転校生とかどうでもよかった。
もっと退屈しなく、刺激的で面白い事がよかった。
なんだよ、つまらなそうにそう呟いたら、チェレンがため息を一つ零した。
「トウヤは何がしたいの?」
「何がって楽しい事…?」
「トウヤが思う楽しい事ってなに?」
俺が思う楽しい事…。
そういえば俺は学生特有のあれをした事がない。
周りの女子達は、それをしてる時、ものすごく楽しそうだと俺は思った。
「"恋"…、とか?」
俺から出た言葉がそんなに予想外だったのか硬直するチェレン。
(なんだよその反応)
「トウヤ、何か悪い物でも食べた?」
「俺は至って普通だけどね」
「…だよね」
「チェレン、恋って楽しいの?」
俺がそう問うと、チェレンは僕に聞かれてもね、と最もな事をいった。
そういえばチェレンが、俺に恋の相談とかしたことがない。
そもそも恋という字のこの字も出た事がないこいつに俺は何言ってんだか。
「チェレンは勉強が友達だもんね」
「なんだよその言い方」
ムッとした顔で言い返すチェレンを、軽くあしらってると休み時間に終わりを告げるチャイムが鳴った。まだ、納得してないのかぶつぶつ文句を言いながら席に戻るチェレンをぼーっと見送る。
それからちょっとしてから担任の教師がクラスに入って来た。
「今日は転校生が来てるから、紹介するぞー、入って来い」
また誰かが教室に入って来た。
特に興味はなかったけど、なんとなくそいつを見てみる。
ふわふわとした緑色の髪、肌は白くてかなり華奢だった。
なのに俺より身長が高そうだったのが少し気に入らない。
顔はかっこいいとかじゃなく、綺麗だった。
「Nです、よろしく」
必要最低限の事しか話さないNとかいう奴に、周りの奴らの反応は最悪だった。
関わりづらい奴だな、とか無愛想だとか、とにかく言いたい放題だった。
それを気にする様子もなく、担任に僕の席はどこですか、なんて聞く。
変な奴、それが彼に感じた第一印象だった。
転校生
(でもやっぱりそいつに興味なんて一切わかなかった)
2010/10.01
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