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性転換神楽×初期沖田(性転換神威)





「お前って胸ないよな」



本当に何気ない一言だった。
いつも通り学校に来たら沖田に絡んで、暴言吐きあって、笑って。そんな時ふ、と気がついた事を口にしただけだった。
俺にとってそれは雨の日に、今日は雨だね、って話すぐらいに自然の事で。ましてや雨が降ってる日にそれを口にしてぶちギレられるなんて思う訳がない。
そりゃ、俺はあいつにとって良いことは言ってないだろう。多少は何か言い返されるのも予想はしていた。それでも笑ってふざけんなくらいだと思っていたのに。
現実は違うみたいで。



「ふっざけんなこのクソ餓鬼!!近未来ハゲ!!死ね!!」



かなりぼろくそ言われました。
すぐに言い返そうとしてもあいつは教室から飛び出して行くし、戻ってきたと思ったら口も聞いてくれねえし。何がそんなに彼女を苛立たせたのか。何でそんなに怒る必要があるのか。そんな不満を姉ちゃんに全てぶつけてみる。すると、姉ちゃんは笑顔で玄関を指差した。



「今すぐ謝罪してこい」



その笑顔の周りに何かどす黒いものが浮かんでいて、咄嗟にでた不満を全て飲み込んだ。
それでも俺があいつに謝罪する理由をよく理解してないのは察したらしく、短いため息のあと呆れた顔で俺を見つめる。



「あんた例えばさ、総羅ちゃんにお前みたいなチビとは付き合いたくないヨって言われたらどう思う?」

「俺そこまで言って、」

「言ってなくても女の子はデリケートなの。それと同じくらいあの子も傷ついてるヨ、きっと」

「姉ちゃんが女を語るなよ!!この大食い馬鹿力女!!歩く戦闘機!!女に謝れ!!」

「あ?」



これ以上言えば俺はきっと病院送りにされてもおかしくなく、元気な声で行ってきます、と急いで家から飛び出す事しか選択肢はなかったのであった。



───……



「今、お前の家の前に居るんだけど」



電話してから1分もしないうちにあいつは家から出て来た。相変わらず不機嫌な顔をしている。
そんなに悩ましていたのか、と急に申し訳なくなってきてつい俺も視線を落としてしまう。



「なんか、ごめん」

「な、なんであんたが謝んの」

「そんな気にしてると思わなかったから…、姉ちゃんに言われて気づいた、確かに俺も身長の事言われたら嫌だし」

「でもお前がどんなに胸が無かろうがなんだろうがまな板だろうが俺はお前が好」

「死ねハゲ!!!」




最後まで言えずに終わりました。
理由はあいつからの強烈なビンタをくらったからです。はたしてあれはビンタと呼べるのでしょうか、右ストレートいれられた気がするんですが。まじで容赦ねぇ。
謝罪しに行ったのにまさか殴られるなんて。何がいけなかったんだよ。



コンプレックス
(家に帰って姉ちゃんにさっきまでの話をしたら笑顔で玄関を指さされました)




2012/06.11






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