より様キリリク
神威→初期沖田←土方
"お前に大事な話があるから放課後屋上に居ろ!"
いつだったか分からない、でも少なくともこんなに空がオレンジ色になってなかった時、こんな約束を土方に一方的に取り付けられた。
さっさと帰れと言うかのようチャイムが鳴り響いてからもうどれくらいたったのだろうか。あたしはさっさと帰ってしまいたいのに。もうむしろ勝手に帰ってしまおうか。
目の前にはあたしを此処に呼び出した本人と見慣れたみつあみの姿。ため息がこぼれた。
「ねえ、土方さん」
「あ!?」
「あたしはなんの為に此処に呼ばれたんですか?あんたらの喧嘩を見る為ですか?帰っていいですか?」
「んな訳ねえだろ!!だいたい何でこいつが居るのかすら知らねえよ!」
「は?あんたが総羅に手を出さないか見張りに来たんだけど?この人何するか分からないから総羅は俺と一緒に帰ろうヨ」
なんだと、と聞こえた土方の声は明らかに第ニ回戦目の喧嘩が始まる合図。もういい加減にしてほしい。このしょうもない喧嘩をあたしは何時間見続けたら良いんだ。だいたい大事な話は何処にいったのだ。不満は時間がたつ度に募る。ここまで我慢出来た自分を讃えたいくらいだ。
キリがない、と奴らに背中を向ければ待て、と大きな声。嫌そうに振り向くあたしとは真逆に頬を赤く染める土方。なんだか空気がどこぞの少女漫画チックになってきた。なんですか、と口にすれば深い呼吸を繰り返し、意を消したかの様にこちらを見つめる。そしてゆっくり口を開いた。
「もうこいつが居ることとか関係ねえ」
「こいつ呼ばわりなんて酷いなあ」
「俺はお前が…!」
「好きだヨ」
「は?」
「だから俺は総羅が好きなんだヨ」
「いやそうじゃねえよ、あれ?今俺が告白するとこだったよね?え?は?」
「早い者勝ちだよね〜」
「てめええええ!!!」
ついに取っ組み合いになった目の前の奴ら。結局土方は何が言いたいのすらわかんないし、神威からは今更な告白を受けるし、もう本当時間の無駄というそのものを体験したようで、というか体験して。土方がなんだかいつになく真剣な顔して大事な話とか言うから、本当は一刻も早く帰って観たかったドラマの再放送観るのも我慢したのになんだこの仕打ちは。
そんなのも知らないでギャーギャー喚くこいつらは鬱陶しい事この上なくて。
「お前らいい加減にしろやァァァ!」
柄にもなく声を張り上げてしまうのは仕方なかった事だと思います。
先ほどとは打って変わって静かになる奴らに、近くに落ちてた土方の物であろう鞄を神威に思いっきりぶつけ、土方にはあたしの右の上履きをぶつけ死にさらせ、とだけ言って屋上を出た。
それでもまだイライラが消えなかったあたしは、たまたま帰り道に居たどこぞの眼帯野郎の頭を叩いた事によって少し解消させるのだった。
気をひきたいなら上手くやれ
(次の日、懲りもせずまた大事な話がとほざく土方にはドロップキックをくらわした)
2011/12.21
リクエストありがとうございました。
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