佐藤様フリリク
神威×初期沖田
「は?結婚?」
そうだ、と頷けばそんな馬鹿なと軽く笑う俺の親父。その笑い方がどうも気に入らなくて手元の傘を奴の首に向ける。それでも表情一つ変えないのはさすが俺の親父と言えるだろう。
「お前みたいな馬鹿息子、誰がもらってくれるっていうんだよ」
「チッ、総羅ー!おいでー!」
「今舌打ちしたよね、絶対今パパに舌打ちしたよね」
うるさく喋る奴なんか無視して、後ろにいる妻になる人に呼び掛ける。すると不安げな表情で現れ、親父にぺこりと頭を下げた。ああ、なんて可愛いんだろう。今すぐにでも襲ってしまいたい。そんな欲望を理性の鎖で縛り付け、この人が俺の婚約者と伝えれば飲んでたお茶をベタにも吐き出した。
きったないなあ。
「沖田総羅です、あの今後ともよろしくお願いいたします!」
どうやら緊張してるのかぺこりと下げた頭は勢いよく机にぶつかった。水の入ったグラスは倒れそのまま彼女の顔を濡らす。
どうにか俺の親父に良いところを見せたかったのか、彼女の落ち込み様はすごくて。
つまり元を辿れば総羅が落ち込んでる原因は俺の親父にある訳だから黙っている訳にはいかない。
「おいハゲ、総羅に謝罪しろよ」
「なんでだよ!!!つーかこういう大事な話ファミレスでするっておかしくね?もっと場所あるよね?」
「近々あたしもお父さんのファミリーに入るので…」
「何ちょっと上手い事言ってんの!?馬鹿なの!?」
「ハゲはお前だろ」
「オメーはハゲしか言えないのか!!つーかハゲなんて一言も言ってねえよ!お前も馬鹿なの?つーか仮にもお父さんだからね俺!」
忙しく口を動かしたかと思えば手元の水を一気に飲み干した。視線を親父から彼女に移せば緊張が解れてきたのか表情は穏やかになってきていて。
そのまま見つめていたら視線に気づいた総羅がこっちを向いて小さく微笑んだ。まるで大丈夫だ、と言わんばかりに。
「あの、話を戻しますが…」
「あ?」
「息子さんをあたしに下さいお父さん!」
「なんか、言う立場逆じゃね?」
少しズレたところも、無駄に一生懸命で真面目なところも、少しだけ赤くなる頬も全て愛おしくて。彼女をずっと守って生きたいと本気で思えて。
思わず微笑みが零れた。
「お前のそんな顔久しぶりに見たよ」
「なんだヨ?」
「惚れた者同士仲良くやりな」
それだけ言うと俺の親父は席を立った。どういうことかまだ理解出来てない総羅。
そんな彼女に手を差し延べる。きょとんとしてる様子の彼女に言葉を発せば、彼女の表情は一変して俺の1番好きな顔になった。
「これから末永くよろしくお願いしますよ、奥さん」
結婚する事になりました
(一生貴女だけを守ると誓います)
2011/11.28
リクエストありがとうございました。
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