狂喜、狂気、凶器 | ナノ







「馬鹿だよね、あんたって」



ぎり、首を絞めてる手に爪を立ててみた。一瞬少女は痛みに顔を歪めたが、すぐに表情は冷たく鋭いものに変わり"可哀相"確かに少女はそう言った。
更に腕に力を込める。どうやら彼女は死が怖くないようだ。恐怖に顔を歪めた顔を見たかったのに残念だなあ。
ぱくぱくと口を動かすも声は出せないようだ。何を言ってるのか気になり首にかけた手を退けてみる。するとすぐに酸素を求めて肺が大きく動く。



「わあ、総羅も生きてるんだねえ」

「あんたばか?死んでたら会話できないっつの」



口を開けば憎まれ口ばっか叩いて。たまにはデレてもいいと思うんだけど。まあそんなとこも可愛いからいっか。
何回か咳をする彼女をじっと見つめてみた。ひやりと彼女からは汗が滲む。やっぱり少しは"死"が怖いのかな?でも瞳からは恐怖を感じないし。よく分からない。



「いってェな、離しやがれクソガキ!!」



バキ、一発頬に強いのが入った。随分痛め付けた筈なのにまだこんなに力が残ってたとは。本当"一番隊隊長"は恐ろしい。
痛いじゃん、って言ってみればいいから離せともう一発。口内が切れた感覚がした。口端からは生温い感覚。きっと血が流れたんだろう。ま、どうでもいいけど。



「おいおいマジかよ、あんた目が座ってんじゃねえか」

「俺の事好きじゃない総羅とかいらないんだよね。それに、総羅が俺じゃない別の奴を想ってるなら尚更」

「はは、本当狂ってるよ」

「いいよ、なんとでも」



また首に手をかけた。ゆっくり瞼を閉じた総羅。そして小さく呟いた言葉。
本当、最後の最後まで酷い女だったよ。愛してるよ。




(最後まで土方って。本当嫌な女。ぼろりと目から零れたソレを俺は知らない)




2011/0614