連動 泣きそうな顔をして笑う少女にまた言葉が詰まった。 俺は少女に本当何にもしてやれてないのに、むしろ困らせてばかりなのに"ありがとう"なんて言われたらもうどうしていいのか分からなかった。 なんで、と言葉にしても少女は笑うだけ。何故か無償に少女を抱きしめてやりたくて。 「なんで貴方が泣きそうになってんですか」 「ごめん、」 「謝らないで下さいよ」 本当情けない、と小さく笑った総羅。 それでもごめん、としか言えない俺は本当に情けない奴だと思う。こういう時に気の利いた言葉すら思い浮かばなくて。申し訳なくてつい視線を下に向けてしまった。 「でも、貴方はそれでいいんですよ、」 「そういう不器用なところ全部ひっくるめてあたしは好きですから」 なんでこいつはこんなに強いんだろう。こんな事辛くて俺だったら絶対言えないのに。なんでこいつはこんなに、なんで、 なんで、俺なんかを好きなんだろう。 俺なんかやめちゃえよ。俺なんかより絶対良い奴居るから、お前は顔も悪くねェんだし。 なんて口に出したらこの女の事だ。ブチ切れて殴りかかっても可笑しくないだろう。あえて嫌われる為に口に出しても良かったが、なぜか嫌われたくなかった。きっとそれは俺がずるい奴だから。 本当最低最悪ですね、と笑う総羅の声が聞こえた気がした。 「もうこの話やめましょうか」 「ごめんな、本当に」 「本当やめろよ土方コノヤロー!せっかく久しぶりに総羅様に会えたんだからもっと楽しそうな雰囲気だせや!」 ぐしゃり、と俺の頭をわしづかみ、総羅は笑った。 無理矢理明るい雰囲気を作ろうとする少女に俺も小さく笑った。 きっともう前みたいに戻れない事は俺も少女も気づいてたんだ。でもそれをお互い見て見ぬフリをして笑った。それに気づきたくなかったのはお互い様だったのだろう。 「久しぶりに飲むぞおお!土方酒買って来い!」 「お前未成年だろ」 「テメーもだろ!いいから買って来いよ!!勿論お前の奢りだからな!」 「テメ、まじでいい加減に…っ!」 「んだよせっかく会いに来てやったんだからそれぐらいしろよハゲ!」 舌打ちをして、わざとらしくため息をこぼす。 それでもなんだかんだでこの女の言うことを聞いてやるのは、俺が甘やかしてる証拠なのかもしれない。 二度と帰ってくんな、バーカ!と言う総羅の悪態を後ろで聞きながら俺は外に出た。 (少しでも欠けたら元に戻る事はきっと出来ないだろう) 2011/08.09 ← |