ヤンデレ土方×浮気症沖田
※ぬるいですが一応注意です。





じわり。血が滲む。これはあたしの血だ。痛みは感じない。感覚が麻痺してるんだ。
頭がぼーっとする。意識を飛ばしてこの場所から逃げようとするも、すぐにまたくる痛みにそれすら許されない。



「土方さん痛いんですけど」



返事は返って来ない。かわりに口角が上がる。可笑しい。狂ってる。今のこの人にはその言葉が随分と似合う。
なんでだろう。いつもは優しくて、ヘタレで馬鹿な土方の面影は微塵もない。
なんでだろう。この人をこんなにした原因は。



「おい、これで何回目だ?」

「何が」

「これで何回浮気した?」



ああ、そうだ。
あたしは今日万事屋の旦那と寝たんだ。それをこの人に見られた。だから怒ってるのか。
それが当たり前になってたから分からなかった。口元が緩む。

たかが浮気なんかで。ちっちゃい男。

部屋にあたしの声が響く。空気ががらりと変わる。ああ、土方さんキレたな。
鳩尾に一発と頬に一発。口からは血液が零れる。



「ふざけんなよ…ッ」



土方さんの頬から涙が伝った。
それに手を伸ばして拭う。冷たい。



「好きですよ、土方さん」

「……」

「でも旦那も好きなんですよ」

「お前は俺のだよ」



首元に噛み付かれる。自分の物だと証をつけられる。
あたしはこの行為が嫌いだ。あたしはあたしで誰のものでもない。
無理矢理隊服を脱がされた。もうこうなりゃ抵抗しても無駄だ。ただ黙って抱かれるしかない。
別に嫌ではないからいいんだけど。だって気持ちいいじゃん。



「沖田…、」



名前を何度も呼ばれる度にあたしの心は満たされた。だから旦那にも手を出したしそれだけじゃなく、山崎にだって手を出した。
悪い事したって、そんな気持ち全然ならなかった。そのかわり、あたしの身体は傷つく。それでいいと思った。
あたしは快楽のかわりに痛みを選んだんだ。

痣だらけの身体を、土方の大きな手がまさぐる。傷に当たって少し痛む。
でもだんだんとそれすらも快楽に変わっていった。




全て任せよう。
目を閉じたら何故だか涙が溢れた。






(もしかしたらあたしは平凡を望んでいたのかもしれない)






2011/03.28


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