いつもあいつの隣はあたし。これは幼ない頃からずっと変わらなくて、これから先もこの場所が当たり前だと思ってた。
居心地がよくて、落ち着いて。誰よりもあいつを知ってるはずだった。


「好きな奴が出来た」


その時の表情は、何年も一緒にいたはずのあたしが今までに見たことがなくて、本気なんだって思ってしまった。
その瞬間、馬鹿みたいに胸が締め付けられて泣きたくなった。だってこの先もあいつの隣にいれると思ってたから。急に彼が遠く感じて、手の平に汗が滲んだ。
平然を装うとしても心臓が早く動いて、頭が真っ白になって、本当情けないくらい言葉が出なくなった。


「総羅?」

「え?あ、あぁ!土方も好きな奴なんてできるんですねィ!」

「なんだとコラ」


"あたしの気持ちを土方に悟られちゃいけない"なんでか分からないけどそう思ってしまった。
普段、あたしは土方とどう接していたっけ?こんな感じだったっけって、冷静に普段通りのつもりでもぐるぐる頭が回って、まともに話なんて聞ける状態じゃなかった。


「その話はまた今度聞かせて下せェ!今は眠くてしゃーない」

「お前さっきまで寝てたじゃねえか」

「寝る子は育つんでィ」


いつもの様にくだらない言い合いをしながら、あたしは机に俯せた。眠いだなんて嘘。
今は土方の話を聞ける余裕なんてあたしには0だ。
瞼を閉じれば、今にでも泣ける。胸がぎゅうぎゅう締め付けられて、その痛みを止める術なんて分からなくてただ寝てるフリをするしか出来なかった。
黙ってあたしの側に居た土方は、チャイムが鳴ると同時に自分の席にもどった。その時土方がそのままあたしの元に戻って来ないんじゃないか、とすごく不安になった。でも行かないで、なんて言える勇気はあたしにはなくて。
いまさら、なんであたしは土方の幼なじみなんだろうって自分の立場を恨んだ。土方はあたしを異性として見たことなんてきっと一度もなかったと思う。




(声を殺して涙を流した)




2011/02.04
確かに恋だった様からお題お借りしました。






 
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