高尾と緑間



「お前ってホモなの?」


新学期、世界が滅亡するだのなんだの言われていた2012年だったが無事に年を越し、クラスのそれなりに仲の良い奴等と冬休みは何をしていたかという話に花を咲かせていた時だ。
彼女と初詣に行ったと言う奴には皆でちゃかしたりと楽しい時間をすごしていたのだが、誰かが放った「高尾は何してた?」の一言によりその場にいた奴等全員の視線を浴びる事になる。
冬休みはほとんど部活だった訳で。まあ、流石に正月には部活がなかったから元日は嫌がる真ちゃんを無理矢理連れて、初詣に行った。確か随分と機嫌を損ねていたから出店で売っていたベビーカステラを買ってあげたら機嫌が治り、それからは真ちゃんもそれなりに楽しんでいた記憶がある。
別の日は真ちゃんと一緒におは朝のラッキーアイテムを買いに行った。その帰りに少しだけ積もっていた雪を手に取り丸め、真ちゃんにぶつけたのをきっかけに急遽雪合戦開始。ムキになってる真ちゃんはやっぱり面白かった。
他の日はやっぱり真ちゃんと、って待て。


「部活あった日以外、全部真ちゃんと過ごしてるわ」

「は?」

「流石にそれはねえだろ」

「いやまじで。暇になったら俺、緑間の家直行してた」

「え、ちょっと待って、お前緑間のこと好きなの?」

「は?」


「お前ってホモなの?」



んな訳ねえだろー、なんて笑いながら返したが、流石にこれはホモと言われてもしょうがない。俺も正直無意識に真ちゃんに会いに行っていたから、今この事実に目の前の奴等同様に驚いている。
そして休み時間が終わるまでは俺がホモなのか、そうではないのか、という議論で俺をそっちのけで盛り上がる友達を黙って見ていた。それよかそんな恐ろしい議論をされているなかでも、真ちゃん今なにしてんだろーなんて考えてしまっている自分が一番恐ろしいのだが。




「真ちゃん俺ってホモなんだって」

「気持ち悪いのだよ。しばらく俺に近づくな」

「ひっでえー!」


放課後、緑間と一緒に体育館へ向かう途中、ふと休み時間にした会話を思い出した。特に意味もないがなんとなくそれを緑間に話してみると案の定冷たい返事が返ってくる。
まあ、それが普通の返答だし、実は俺もなのだよとか返ってきた方が困るからそれは構わないのだが。


「ホモって言われたの半分はお前のせいなんだからなー」

「意味がわからない、人のせいにするな」

「だって真ちゃんと一緒に居るの楽しいからそんな誤解が生まれたんだぜ?半分は真ちゃんのせいっしょ!」

「‥‥ふん」


やっぱり気持ち悪いのだよ、と言う真ちゃんの顔は少しだけ嬉しそうだった。





2012/01.13





 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -