ハロウィン(高緑)



「とりっくおあとりーと!!」



今日は10月31日。つまりハロウィンだ。今この台詞を口にするやつらで校内は賑わってるに違いない。だが、今俺を見下すこの緑髪はなんの事かわかっていないか、そんな行事一切興味ないの二択のはずだ。
だから俺は考えた。トリックオアトリート、お菓子をくれなきゃ悪戯するぞという意味。緑間くんはそのお菓子を絶対に持っていないはず。つまり真ちゃんに悪戯ができる!(性的な意味で)
こんな素晴らしい行事に参加しないはずがない俺は真ちゃんに会うなりすぐさま、その魔法の言葉を口にした。返事はなく睨みつけられたままなのでもう一度口にすることにする。



「とりっくおあとりーと!」

「で?」

「いや、で?じゃなくて」

「で?」

「………」



まあこうなる事は予想済みなので別に焦る必要は全くない。
次の用意していた言葉を言えばいいだけなのだから。
面倒臭いと言わなくても通じるぐらいわかりやすい表情をした真ちゃんにも俺はめげない。全ては悪戯のため。



「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ、と言う意味でして」

「お前の考える事くらいてにとる様に分かるのだよ」



そう言って手の平に乗せられた飴。どや顔の真ちゃん。俺は絶望した。
このパターンは全く想像していなかった。まさか真ちゃんがお菓子をくれるとは。真ちゃんを悪戯するつもりでいっぱいだった残念な頭は返す言葉を見つける事が出来ない。



「今度はこっちの番だ、トリックオアトリート」

「は?」

「だからトリックオアトリートなのだよ」



俺の前に手の平を差し出す真ちゃん。もちろん俺は真ちゃんに悪戯する気満々だった訳で、お菓子を持ち合わせていない。
焦った俺は先ほど貰った飴をリリースした。不満そうに俺を見つめる目なんて気にせず笑顔をキープする。だって俺の手持ちはこれしかねんだもん。仕方ねえよ。



「とりーとおあとりーと!」

「貴様まだ言うか…!ほら、飴」

「おーありがとうー」

「トリックオアトリート」

「はい、真ちゃんの飴ちゃん」

「ふん」

「とりーとおあとりーと!!」



何が楽しいのかこれを30分くらい続けた俺達は学校を遅刻する事になるのである。
無限ループって怖くね??





2012/10.31

本当は真ちゃんが高尾くんに悪戯する話の予定だったんですがなぜか無限ループの話になりました。
無限ループって怖くね??


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