不器用な人達(宮→←緑←高)
緑間は宮地先輩が好きだ。
あいつが宮地さんに送る視線が尊敬してる先輩ではなく恋心だと俺が気づいたのはすぐの話。
今だって宮地さんから汗を拭けと乱暴に渡されたタオルに文句を言いながらも、それを受け取り頬を少しだけ緩めている。
可愛いなあ、と思う。その幸せそうな表情を俺に向けてほしいなんて馬鹿だろうか。
「しーんちゃん」
「ベタベタとくっつくな高尾」
いつも通り真ちゃんに抱き着けばこれまたいつも通り鬱陶しそうにその腕を払いのける。
これが宮地さんだったらガチガチに緊張するくせにばーか。心の中で毒づくも虚しくなるだけだった。
そんな時、感じる一つの視線。
視線の先を追えば宮地先輩。
俺はもうひとつ知っている事がある。
それは宮地先輩も緑間に好意をよせていることだ。
お互いがお互いに不器用で、さらに鈍感だから進展する気配はない。緑間の想いも、宮地先輩の想いも、知ってるのは俺だけ。
「真ちゃん大好きだー」
「気持ちわるいのだよ」
だからこそそれを言うつもりもないし、嫉妬が含まれる視線をこちらに向けられても知ったことではない。正直応援なんてできない、俺は真ちゃんが好きだし。
一瞬だけ開いてすぐに閉じた唇。一体何を言おうとしていたんですか、せんぱい。
2012/09.29
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