07


木曜日は1日中ESのオフィスにてあんず先輩のお手伝いをすることになっている。
忙しなく動くあんず先輩の側で書類整理や備品確認をしていると、あっという間に12時すぎになった。


「お疲れ様、なまえちゃん。この後はだいぶ仕事が落ち着くから、1時間半くらいお昼休憩に行ってきて大丈夫だよ。」

『はい、分かりました。何かあれば連絡していただければすぐにお手伝いします!』

「ふふ、ありがとう。でも大丈夫だよ!いってらっしゃい。」

『はい、失礼します!』


最低限の荷物だけ持ちオフィスの外に出ると、ちょうど天城さんがこちらに歩いてきていた。
私に気付いたのか軽く手を挙げてくれる。私が会釈で返すと、いつもの少し個性的な笑い方で笑った。


「今終わったのか?」

『はい。1時間半くらい休憩にしていいそうです。』

「なるほどな〜、分かったぜ♪」


どちらからともなく歩き出すと、自然と話が弾む。
この前あったお仕事の話だったり、弟さん…一彩先輩のことだったりを楽しそうに話してくれる。
私はたくさん話したりするのが得意では無いはずなのに、なんだか話しやすくて会話が楽しく感じる。
今までには無い感覚を不思議に思っていると、あっという間にカフェに着いた。


「よォ〜ニキ!上手い昼メシ作ってくれよな♪」

「燐音くんまた来たんすか〜?!あっ、なまえちゃん!いらっしゃいませ〜!」

『はい、こんにちは。』

「おい俺っちと態度違いすぎんだろ?」


少し口喧嘩をした後、椎名さんは厨房へと向かっていった。…今日も注文していないけれど、椎名さんが作る料理はどれも絶品だと聞くので気にしないことにした。
席に座って一息つくと、また天城さんが口を開いた。


「あ〜…なまえちゃんさァ…」

『…天城さん?どうしたんですか?』

「そうそう、それだよ。呼び方。天城さんはちょっと硬すぎねェ?」

『そうですか?』


気にしたこともなかったな、と不思議に思う。でも目上の人だし、失礼な呼び方をしないようにするには苗字呼びが1番だと思うんだけど…


「もっとさァ、軽い感じでいいぜ?ほら、燐音くんとかでもいいから!」

『いえ、年上の方をそんな風には…』

「でもカノジョちゃんは名前だろ?」

『藍良くんは同級生なので…』


私がずっと遠慮していると、だんだん天城さんの元気がなくなっていくように見える。
…年上の人、ましてや異性を名前で呼んでいいものか、と頭を抱えた。


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