05


私の向かいの席についた天城さんが呆れた顔をしてため息をついた。


「なまえちゃんがお仕事大好きなのは知ってるけどよ〜、メシはちゃんと食わないとなァ?」

『…適度に、いただきます。』


天城さんの圧に負け、軽く頷くと、満足そうにうんうんと頷いた。それから、机に頬杖を付いて話を続ける。
先程とは打って変わった少し曇った表情に、少し違和感を感じる。


「あ〜……なまえちゃんってカノジョくんと同じ歳だったよな?」

『カノジョくん?……あぁ、藍良くんですか。はい、そうですよ。』

「そのカノジョくんに、何か言われたりしたんだろ?」

『え、』


いきなり核心をついた質問に思わず固まる。そんな私の様子を見た天城さんか軽く笑い、だよな、と言った。


「じゃね〜となまえちゃんが俺っちのこと誘ってきたりしね〜もんな〜。」

『…確かに、藍良くんにご飯に行ってきたら?って言われたのは事実ですけど…天城さんは、勘違いしてます。』

「ん?」


最初は全く乗り気じゃなくて、むしろ行きたくなかったけど、今はそうじゃない。私が勘違いしていた所もあると分かったし、何よりも今日誘ったのは私の意思でもある。
…それに、天城さんの顔が曇るのは、なんだか嫌な気分になる。


『今日天城さんをお誘いしたのは、間違いなく私の意思です。しょうがなく、ではないので、勘違いしないでください。』

「……おう。」


きょとんとした顔で固まってしまった天城さんに頭を抱えた。勘違いしないで、だなんて…失礼にも程がある。やってしまった。


「お待たせしたっす〜!とりあえず軽くパスタにしたんで、食べれそうな分だけでも食べてくださいね〜!」

『…あ、ありがとうございます。』


謝ろうとした所で、椎名さんが私たちの机にパスタを置く。置いたらすぐに厨房に向かうのかと思っていると、私が食べるのをじーっと見つめて待っているようだった。


『い、いただきます。』


軽く手を合わせてからパスタを口に運ぶ。口に入ったパスタはとても美味しく、思わず頬が緩む。美味しい、と言った私に満足げに微笑んだ後、椎名さんは厨房へと戻っていった。


『…あの、天城さん?』


ぼーっとした顔のまま固まっていた天城さんに声をかけると、先程の雰囲気は感じさせないほどにこりと笑って口を開く。


「…なまえちゃんって、クールに見えて可愛いトコあんだな♪」


爆弾発言に思わずむせた。…天城さんとの食事は、かなり心臓に悪そうだ。


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