04
「ニキきゅ〜ん!メシ食いに来たぜェ〜?」
「げっ、燐音くんじゃないっすか!」
ご機嫌のまま椎名さんの肩に手を回す天城さんに少し苦笑いをする。あんず先輩から2人は長い仲だと聞いているけど、付き合いが長すぎて嫌なところもあるのだろうか。椎名さんは天城さんに少し抵抗をしていた。
「というか、なんでそんなにご機嫌なんすか〜?変な物でも…って、なまえちゃんじゃないっすか!こんにちは!」
『あ、はい。こんにちは。』
「ご飯食べに来てくれたんすか?!シナモンに来る事ほとんど無いのに、めずらしいっすね?」
「なまえちゃんは今日俺っちと晩メシなんだよ♪」
「はぁ、燐音くんとなまえちゃんが……えっ?!」
驚いた顔のまま、椎名さんが私と天城さんの顔を何度も確認する。そして少し悩んだ後、私の両肩に手を置いた。
「なまえちゃん、脅されてるなら僕が力になるっすよ?!」
「脅してねーよ。」
『私がお誘いしたんです。この間断ってしまったので。あと…』
藍良くんに言われて、と言いそうになったのをぐっと飲み込む。ここでそんな風に言うのは、藍良くんに言われたから仕方なく誘ったように聞こえてしまう。それはかなり失礼なことだ。
「あと?まだ何か理由があるんすか?」
『…今日はなんだか、お腹が空いたので…』
「そうなんすか!!?それはいいことっすね!!!」
「おいおいニキ、そんなにびっくりすることじゃね〜だろ?なまえちゃんは別にロボットじゃね〜んだからよ。」
軽く肩をすくめた天城さんに同意するように頷くと、小さくため息をついた椎名さんが言葉を続けた。
「この前あんず姐さんから「なまえちゃんが仕事に集中しすぎてご飯食べてなくて…」って聞いたんすよ。だから驚きより嬉しいのが正しいっすね。」
『…あ、この前の。』
話を聞いて、つい1週間前ほどにあんず先輩も同じ事を言っていたな、と思い出す。私がうんうんと頷いていると、天城さんが私の肩を軽く掴んだ。
「……ほっそ。」
『え?』
「お〜いニキ、なまえちゃんの好きそうなのい〜っぱい持ってこい…!」
「好きなものって…まぁ、分かったっす。席座って待っててくださいね〜!」
ぱたぱたと走りながら厨房に入っていった椎名さんを見送り、天城さんに連れられて席に着く。
…そんなにたくさんはいらないです、って言うの忘れちゃったな。
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