02
月曜日のお昼休み、藍良くんに昨日の天城さんとあんず先輩のことを話すと、意味ありげな顔をして笑った。
「あ〜…それはあんずさんの気持ち分かるなァ〜。」
『なんであんなに笑ってたんだろうって、不思議で…』
「う〜んと…おれからは言わない方がいいかも…」
少しニヤニヤとしながらそう言った藍良くんを少しジト目で見つめる。
言わない方がいいって、どういうことなんだろう。よっぽど私のことが嫌いなんだとか、そういうこと?
『…天城さんが私を嫌ってる態度があからさますぎて笑っちゃった、ってこと?』
「違うよォ!!燐音先輩に限ってそれは絶対にない!!」
いきなり立ち上がった藍良くんに呆然とすると、ハッとした顔をしてゆっくりとまた椅子に座る。
それからもじもじとした後、気まずそうに口を開いた。
「燐音先輩は、なまえちゃんのこと嫌いなんかじゃないよォ。」
『そうなの?だって、いつも仕事中話しかけてくるから…』
「それはなまえちゃんと話したいからじゃないかなァ…?」
『…話したいから?なんで?』
「ええっと…それは……そう!仲良くなりたいんだよ!」
『ええ、なにそれ…?』
あまりにも突拍子のない話に思わず首を傾げる。
その様子を見た藍良くんは私よりも首を傾げ、どうしたらいいの〜?!と嘆いている。
…その声が少し可哀想で、なんだか申し訳なくなったから、そっと口を開く。
『…まぁ、藍良くんがそう言うなら今度はもう少し話してみるよ。』
「ほ、本当?!いいと思うよォ〜!ぜひ!」
『す、すごい乗り気だね…』
喜びを表情に思い切り出している藍良くんが「何のお話するの?」と聞いてきたが、そこまでは考えていなくて少し悩む。
うんうん唸っていると、パッと表情を明るくした藍良くんが微笑む。
「お昼誘われたんだよね?じゃあ一緒に行ってみれば?お話する内容も、自然に出てくるんじゃないかなァ?」
『お昼…うん、そうかもね。頑張ってみる。』
「…燐音先輩ってさ、悪く見られがちだけど、ちゃんといい人だと思うからさァ…たくさんお話しして見てねェ。」
『え?…うん、分かった。』
私の返事に満足したように笑って、藍良くんはジュースを買いに出て行った。何故あそこまで乗り気なのから分からないけど、お話はしてみようと思った。
「(なまえちゃん本当に気付いてないんだ…鈍感だな〜!ラブ〜い!)」
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