裸になって体育座りをして体を守るように丸まって座る。
常緑の瞳が真っ直ぐに向けられる。普段のように微笑んではいない。確かに視線は合っている筈なのに、目が合ったと云う風ではなくて。集中、しているんだろう。外界から遮断された防音の部屋では筆の走る音と最低限の衣擦れの音にすら敏感になってしまう。暖かい室内と言っても裸はやはり心ぼそい。出来るだけ動かないように注意はしていたが、無意識に体が少し震えてしまい、今度は本当に常緑と目が合った。逸らすことが出来なくてそのまま見つめ返すと、瞳の中に、閉じ込められた。アイツは、俺を視ているんだ。
呼吸が一瞬、止まる。相手がキャンパスに視線を移した時に漸く息を吸う。身じろぎしないように煩い心臓を黙らせなくては。アイツに気付かれるわけにはいけないのだから。