とっくにばれてるのに、カッコ悪い。顔色の悪さを指摘する真っ直ぐな瞳に、視界が揺らぐ。少し休めと連れられた部屋で、彼の手首を握って、力を込めれば眩暈がして、そのままベッドになだれ込んだ。振り払われることはなかった、ただ抱きとめられる彼は不安そうに俺をみる。気に入らないなんて、ガキ地味てることは分かってる。それでも気持ちは止められなくて、彼の肩を押し付けるようにベッドから上半身を起こした。

「……嫌んなる、そんな顔してるお前も、させてる俺も、」

 声に出せば耐えられない想いが溢れてこぼれて相手の頬に落ちてまた情けない。

「七海、」
「何も、言うな、」

 頼むから。言葉を飲み込む宮地の瞳が苦しそうに歪むのに気づかないふりをした。ごめんな、宮地。心ではいくらでも素直になれるのに、どうしてこんなにも俺は不器用なんだろう。

「みろよ、俺、お前だって好きにできるんだぜ?」
「……ああ、そうだな」
「お前にだって、負けたりしねーのに、」
「七海、分かっている」

 伸ばされた掌が髪に触れて、ぎこちなく撫でる。瞳を覆えば、支える力も足りずに彼の身体に身を預けるしかなかった。分かっている。小さく、けれど確かに呟かれた言葉。だから心配することだけは許してくれないか。困ったような声にまで、嫌だなんて言えるわけもなく、彼の腕を柔く握る。ごめん、心で唱えるだけで、自然とまた涙が溢れた。こうやってまたいろんなごめんが積み重なって、俺は罪を重ねて行くのだろう。それでも寡黙で紳士で真面目な彼は、「分かっている」と、それだけ呟いて、少しだけ苦しそうに呟いて笑うのだ。