(↓のおまけです)



最期にそれはずるいよ

 なぁ、先生は気づいてたんだな。俺、全然知らなかったよ、馬鹿みたいだ。ずっと俺だけだって思ってた、それに、それでもいいって思ってたんだよ。だってさ、いつ死ぬかも分からないようなやつとどうこうなって後で辛い思いをするのは、貴方の方だろ?それに、先生はもうそんな経験をしてるって俺、知っちゃったんだ。ずっと思ってた、だから先生は俺に優しくしてくれるんだって思ってた、優しい先生はその人と俺を重ね合わせて、ほおっておけなかったんだろ?そんな先生の優しさにさ、つけこんでた、はず、だったのに、俺が、もうだめもとで、だめだって分かってて言おうとしてたのに、なんで。

「……愛してるよ」

 一瞬先生が何を言ってるのか分からなかった。どくどくと脈打つ心臓がやけにうるさくなるのを感じて、言葉が出てこなくて。

「お前も、俺が好きだろう?」

 言葉に否定なんてできるはずもなくて、ただかぁっと赤くなる顔をみて、先生は、はじめて俺の前で心から幸せそうに笑った。

title by Aコース