ねぇ、この後少し大丈夫?試合の後に何を、なんてこいつらに聞くほうがばかだったのかなって後悔。

 雷門の近くの河川敷、集まったのは数人。流石に白恋のみんなも試合後の疲れがどっときたようで先に戻ると言っていた。楽しかった、本当に楽しかったんだ。こんなに楽しくて、熱くて、悔しい思いをしたのは本当にいつぶりか。興奮の冷めやらないこの気持ち、迷っている俺の背中を押すのはやっぱりただひとりのその人で、保護者として僕もついていくよと手を引かれた。

「……ほんと、こいつらサッカーバカ」

 ぼそっと呟けばふふと隣で笑う吹雪先輩。

「な、なに笑ってるんですか」
「いや、なんでもないよ?」

 ふわりとほほ笑む相手、言いたいことはなんとなく分かってしまって、そう、どうせ俺だってサッカーバカだと言いたいんだろう。

「雪村」
「?」
「呼んでる」
「え、あ」

 行ってきなって柔らかな笑顔に背中を押されて、俯きながらも走り出した。

「雪村君!シュート、シュート打ってよ!!」
「えっ、止める人、いないじゃないかっ」
「それはほら、天馬が化身でばーーんって止めちゃうよ!!ね、天馬!」
「天馬君の化身も雪村君の化身も、すっごいかっこいいですよね!……あー僕も化身出したいなぁ」
「影山なんかまだ無理だっつーの。……ちっ、俺だって出せねぇのに」
「なんだお前も化身が出したいのか」
「なっ、剣城いつからそこに!」
「狩屋の化身だって、絶対変な名前だよ!!ふっ、あはは!」
「なっ」
「そうそう、ねぇ聞いてよ雪村くんっ、だってね!狩屋がこないだつけた必殺技の名前なんて」
「ばっ、それ以上言うな!!」
「……くっ、あははっ」



こんなに楽しいのははじめてあの人とボールを蹴った時以来だったから

 あんまり元気で、圧倒されてしまって、つい笑みがこぼれた。お前まで笑うなよっていう狩屋君を振り切って松風君のそばにあったボールをふわり奪い取って走り出した。

「あっ、雪村君!ずるいっ」
「俺のシュート!止められるなんて思うなよっ!」