細い、細い白い指が自分の手を優しく包んでいた。目を覚ますとそこには綺麗な顔と透き通る髪。夢であってほしいと思った、夢でなければならないと思った。

「マサキ?気分は」
「……だいぶ、いい」
「そうか、良かった」

 ふわり、笑む。頬がじわり、それだけで泣きたい気持ちになって握られている手を、小さく動かす。

「……茂人、手」
「ああ。落ちつかないか?……情けない話だが、昔、よくこうしてもらったんだ」

 誰に、とは聞かなかった。目で分かった。声で分かった。彼を連想させるすべてが脳凝縮されるような感覚。

「……いたい、頭」

 まだ熱があるのかと心配そうに顔を覗きこんだ相手。額に触れようとする手を払う。一瞬目を見開いた彼の瞳が揺れて、ああ、だから、違うって。

「茂人」
「ん?」
「……そんなことより、手」

 言えば穏やかに笑うその表情が愛おしくて。



繋がれた手に願う。もう少し、もう少しだけと

「なんだか、」
「……、」
「いや、俺も落ちつく、と思っただけだ。おかしいな?」
「っ、……ほんと、な」

(小さく声をあげて笑うから、そんなだから、俺みたいなやつにつけ込まれるんだと片手で顔を覆った)