下校中、石ころを蹴って転がしながら歩く。家が近所ってこともあって、こうやって二人で帰るのが当たり前みたいになってた。自然なことだ。そういやさ、から切り替えた会話。

「謙ちゃんってサッカーのクラブとか入んねーの?」
「え、なんで?」
「だってサッカーボール持ってたし、やってたんじゃねーの?」
「やってないよ、ボールはここに来た時買ってもらったの」
「ふーん、そっか」

 てっきり、やってたんだと思ってた。正直、意外だった。

「外とかで遊ばなかったわけじゃないんだろ?」
「あー……うん。……でもボール使って遊ぶとかはなかったかも、な」
「何微妙な顔してんの?」

 なんか答えるの、少しためらったような言い方が気になって顔を覗きこむとぐいっと手を掴まれた。まーそんなことどうだっていいだろって流すみたいに俺の手をひいて。

「わっ、何処行くんだよ!」
「サッカー、しようぜ!」
「やってないって言ってたじゃん」
「いや、やるのもいいかなって思った!」
「また急な……」
「へへ!サッカークラブとかあんだろ?」
「そりゃあるけど」
「拓矢も入れよな!」
「え!俺もかよ!?」
「柑子も誘う!」
「いや、あいつは絶対やんねぇ」
「あはは!そうだな!だからお前誘ってんじゃん」

 気にしないなんて、無理だったんだよ。一瞬曇ったお前の表情を。でも、なんで?なんて聞く権利はきっとまだ俺にはなかったし、気のせいだってたいしたことじゃないって思いこもうともしてた。違ったんだって気づくのに、少し時間がかかったのは、お前は隠し事が人より少しだけ上手だったせいにした。






 それがの少し苦くて甘いお前の昔話に繋がると知るのはもう少し先の話。