それは三年にあがる前のある春の休みの日のこと。引越しの荷物の整理も粗方終わって、それでも遊ぶ友達なんてものもまだいなかったから暇を持て余していた俺に、父親がサッカーボールを買い与えてくれた。嬉しくて近所にある公園まで連れて行ってもらってここで遊べって言われて、一緒に遊ぼうよって言ったけど、今度なって、忙しいみたいだった。しょうがないからひとりで壁あてを繰り返した。元々サッカーってもの自体が好きだったからべつにひとりでも全然苦にはならくて、時間はあっという間に過ぎて夕刻。もう暗くなるから戻らないと。そう思った俺は公園から出ようと足を進めた。だけど。



It's led to light

 当たり前、越してきたばかりの場所。はじめてきた公園、家までの道なんか覚えられる程良い頭にはできてなかった。それでもなんとかなるだろうなんて思った、どこからそんな自身がきたんだか自分でも分からない。もう少しすればきっと親が迎えに来てくれたはずなのに、なんだかその時の俺はこの先にきらきらした冒険みたいなものが待っているんじゃないかなんて思ったんだ。サッカーボールを抱えながら飛び出すようにそこから抜け出した。