「あー、もう、あかん!限界や!」
最近、名前の元気がない。何でかはようわからへんけど。今もこうやって委員会の仕事をしているのにも関わらず、前みたいな楽しい会話もない。せっかく攻めてみようと決意したというのに、なんでなんやろ。
「放送委員って案外楽なんやな」
「あー、そうですね」
「名前が選んだ理由って残り物やっけ?」
「あー、そうですね」
「俺がなっとるって知らへんかったん?」
「あー、そうですね」
「俺は一緒で嬉しかったで!名前も?」
「あー、そうですね」
「...あー!もう、あかん!限界や!」
俺はそう叫んだ。名前は心ここにあらずやから、同じ言葉を何度も何度も繰り返す。俺は腹が立って机を叩いた。
「ひゃあ!!」
「何があったんや?俺に言われへん?」
「け、謙也先輩?」
「さっきからずーっと、''あー、そうですね''しか言うてへんで?」
「え!すみません...無意識でした」
「なんか、辛いこととかあったんちゃう?」
「辛いといえば辛いですけど...」
名前はそう言うと俯いてため息をつく。
「だめやで、一人で抱え込んだら。頼ってや?」
「あの、でも...」
「俺が解決したる!」
「あー、あの、それはとても無理だと思うんですけど...」
「やってみんとわからへんやろ?」
「そうですけど...」
言うても、「光のこと好きなんで、協力してください」とか言われたらショックやなあ...。解決したないし。
「ま、無理やりみたいなん嫌やから言えるときでええわ」
「あのっ、」
「ん?」
「最近、ある人のことが頭から離れなくて...」
「そうか...って、ん?」
「顔見ただけで胸が苦しくなって、どうしようもなくなるんです。先輩ならそんな感情の時、どうしますか?」
「...当たって砕ける! って言いたいけど俺には無理やな」
「ですよね...」
名前には好きな奴がおるんか。名前にそんな風に思われて、そいつは幸せもんやな。
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