じゅういちわ
入学式も終わり、私は家に帰ることにした。今まで住んでいた家じゃなくて、昔から住んでいた家。パパとママとあっくんと住んでいた家。
「ただいま」
「「おかえり」」
「なんか、本当に久しぶりだな...」
「名前、敦に電話する?」
「いいのっ!?」
「ええ、敦が言ってたの。もし名前が記憶を取り戻した時には電話してくれって」
「あっくん...」
私はすぐさま携帯を取り出した。そこにはあっくんは登録されていないから、ママに電話番号を聞いて発信ボタンを押す。
《だれー?》
「あっくん、お久しぶり」
《この声っ...名前!?》
「うん、そうだよ。ごめんね、たくさん。」
《俺、今からそっち帰る》
「え、ちょっと!あっくん!?」
その言葉とともに携帯は音をなくした。あっくん、今秋田だよね?どうやってくるの?飛行機?そんな大変でしょ...なんて考えも、あっくんに会いたいという気持ちには勝てなかった。
「名前、どうかしたの?」
「あっくん、今から帰ってくるって...」
「あの子はったら...」
あっくんに会える!私の気持ちはそれだけだった。
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