よんわ
敦side
その後、みんなも来ていた。
守られたその幼い少年も。
しばらく待っているとランプが消えた。
中から医者と思われる男が出てきた。
真っ先に俺は反応し、そいつに向けていった。
「名前は?」
「なんとか、一命はとりとめました」
「名前っ!!」
手術室から出てきた名前に声をかけるが
反応はない...
このまま目を覚まさなかったらどうしようか。
双子なのにお前とは替わってやれない。
情けない...勝った優越感に浸っていたときに
名前は痛い思いをしてたなんて、最低だ俺は。
「お姉ちゃん、起きたの?僕ありがとうしてくる?」
「...まだ、起きてないよ。お姉ちゃん、起きてないんだよっ!」
「敦、落ち着け...名前のためにも」
赤ちんからそう言われてゆっくりとソファに腰をおろした。
「名前は大丈夫だよなあ?ちゃんと目、覚ますよなあ...」
「青峰くん...」
「名前っちが居なくなったら、俺はどうすりゃいいんスかっ!」
「頼りにしてたのだよ、あいつのことは」
「僕もいつも励まされてました...」
「私もだよ。名前の笑顔に何度助けられたか...」
「それだけ名前は魅力があったんだ。主将としても名前にはいつも目を配ってた。皆を引き寄せる何かがある。名前には誰かを魅了する素質が」
「名前ちんはみんなから愛されてたんだね...俺とは違って、いい子だもん」
「むっくん、そんなことないけど名前と比較しても仕方ないよ。あの子は何か違うから」
「皆、ありがとう。俺の妹のことそんなにも思ってくれて...まあ、あげないけど」
「こら敦!皆さん...本当にありがとうございます。名前の為にきてくださって。そんな風に思ってくださって...あの子は幸せものです。これからもよろしくおねがいします...」
今日はもう遅いのでお帰りください。おうちの方が心配されます。と両親が言うと
一人ずつ頭を下げ名前が運ばれた方を見ながら
帰っていった。
「俺は帰らないよ?」
「名前についてあげるつもりなんでしょ?」
「まあ、連絡だけはよこせ!眠くなったら寝ろよ」
「うん、じゃあ二人は帰る?」
「明日も仕事だからな...正直なところはここにいたいが、敦がいるなら平気だろう。たのんだぞ?」
「名前に何かあったら言うのよー?」
「はーい。じゃ、おやすみ」
案外軽い両親だ。
名前があんな状態だというのに...
まあ、俺がついてると言ったからか。
明日には目を覚ますだろう、なんて
余裕なこと考えてた俺も軽いなんて気付くのは
これから何日も後だった。
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