「いや、いらへんけどさ...」






「ありがとうございますっ」




そう笑った苗字さんの顔、かわえかったなあ...
なんやろ、胸が締め付けられるいうか
ぐっ、押え付けられたみたいな感覚やったわ。



「おーい?謙也?」

「...うおっ、白石か。びっくりしたわあ」

「なんや、ぼーっとして」

「べ、別にぼーっとしてへんわ!」

「昼飯食おーってゆーても無反応やったやんけ」

「え?声かけてんか?」

「机の上、4限終わったまんまやしさ」

「あ、ほんまや」




いつの間にか終わっていた4限。
教科書もノートも出しっぱやん...



「まあ、どーせ飯食うの早いんやけどなw」

「浪速のスピードスターやからな!!!」

「で、何考えてん?」

「...触れんなや」

「気になるやーん!あ、名前ちゃんや」

「え!どこや!?」

「ぶっ、やっぱ名前ちゃんのことか」

「白石!騙したんか!てか、何名前呼びしてんねん!!」

「謙也に許可いるん?」

「いや、いらへんけどさ...」

「謙也も名前ちゃんにゆーたらええやん」

「言えるわけ無いやろ!!」






「蔵せんぱーい!」

「あ、名前ちゃん」




噂をすればなんやろうか...
俺らの教室の前には女子にまぎれて
小柄で色素の薄い髪の色をした苗字さんがおった。



「今日から部活行きますからー」

「おん、待っとるで!!」

「では!それだけです!」

「ほな...あ、ちょいまち!」

「なんですか?」

「謙也から話しあるんやて」

「け、んや?」

「はあっ!?」

「あ、忍足先輩か!なんですかー?」



外から話しとった苗字さんやけど
俺が話あるちゅーことで中に入ってきた。


「や、えー...」


戸惑っとると、首をかしげ上目遣いを使ってくる。
いや、それはアカンやろ。
反則やろっ!!!


「あのな、名前で呼んで...ええか?」

「名前ですか?いいですよー!あたしも謙也先輩って呼びますね」

「えっ、おん...そんだけや」

「じゃあ、菜摘待たせてるんで!」



菜摘というのは苗字さん...いや名前ちゃん?呼び捨てでええか!
ちゃん付けやと白石と一緒やし!!!
話を戻すと名前の友達で女テニの子や。



「けーんーやー」

「わっ、なんや白石!」

「えかったなあ?誰のおかげやろー?」

「うるさいわ!...まあ、助かった」



ニヤニヤしている白石を放って
少しだけ残ってとった飯を一気に食った。
ニヤけるのは俺の方やって...













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